ISHQ「愛は勝つ」というお題目で作られた映画はそれこそ昔から枚挙に暇もなく、永遠のテーマのひとつでもあります。そのために愛と言う言葉がしばしば粗製濫造気味になることもあり、とりあえず愛があればというのを最終兵器にしておけばいいやと思ってでもいるような投げやりな作品も世の中には少なくありません。もう全然説得力がなかったりしますけど(笑)。 その点『ISHQ』みたいなインド映画は、愛をテーマにドタバタ・コメディあり、アクションあり、もちろん歌あり、踊りあり、涙ありといった、「もう食べられないよぅ!」と言いたくなるぐらいお腹いっぱいの娯楽大作です。 妻を亡くした大富豪のランジート(サダーシヴ・アムラープールカル)は貧乏人には触れることもいやというぐらい忌み嫌っていました。彼には一人息子のアジェイ(アジェイ・デーヴガン)がいるのですが、いつも父に反抗して会社の前で大の親友ラージャ(アーミル・カーン)とつるんでトカゲオイルを売り始めたりする始末。一方、同じ町に住むスキンヘッドの大富豪ハルバーン・シン(ダリープ・タヒル)もまた、貧乏人が死ぬほど大きらい。弟の子供が市井の人間とと婚礼をあげるということだけで大騒ぎし、自分の一人娘だけは金持ちに嫁がせると息巻きます。その娘マードゥ(ジュヒー・チャーウラー)は勝気な性格で、貧乏であっても仲のよい女友達であるカージョール(カージョール)といつも一緒に行動していました。ある日、偶然車で出かけている時に20年ぶりに出会ったランジートとハルバーンは意気投合。お互いの息子と娘を騙して婚姻届にサインさせて結婚させようと目論見ます。ところがショッピングセンターで偶然出会ったアジェイはカージョールに一目ぼれ。それぞぞれの親友でありながら互いに反目していたラージャとマードゥも、アジェイとカージョールの仲を応援しているうちに次第にお互いに惹かれていきます。それを知ったランジートとハルバーンは大激怒。2組のカップルの仲を裂こうと陰湿な計画を立てようとします・・・・・・。 前半はかなりハイ・テンションのドタバタ・コメディ。しかもアクションをふんだんに盛り込んで大サービス。高いビルとビルの間に渡された細い配管の上を恋に落ちて呆然となったアジェイが歩くシーンなんかは、高所恐怖症の人が見たら目をつぶってしまいそうな場面です(笑)。ブレーキが壊れた車をサルが運転してアクロバティックな運転をする場面もすごすぎます(笑)。007って書いた服を着ているサルだし。車は大破、家も惜しげもなくつぶれたりしています。かと思えばいきなりホラー映画みたいなシーン。ちょっとチープな仕掛けがミソですが、何の説明もなくスリラーしてしまうところがさすがです(笑)。 そして恒例インターミッションの手前、ランジートとハルバーンが若者たちの愛を裂こうとラージャの自動車修理工場に現れたあたりから俄然物語はシリアスに。そしてずっしりと重くなっていきます。ジュヒー・チャーウラー扮するマードゥが火炎放射器で婚姻届を燃やし(凛々しい!)、親と子が対峙したところでインターミッション。そして後半は前半のドタバタ・コメディなぞまったく忘れたような展開に。しかも殺人沙汰は当たり前のようなごっつい話になっていきます。途中、陰謀による誤解で別れてしまったアジェイとカージョールがお互いを思いながら思いを馳せる歌の場面は名シーン。楽しかった頃を思い出しながら遠くを見つめる目からあふれ出る涙に、こちらも涙なくしては見られませんでしたわ。そしてラストは・・・・・・。 こういう映画を見るとつくづくインド映画はエンターティンメントだなあと改めて思います。 【ISHQ 1997年 インド】
by santapapa
| 2006-06-27 21:11
| インド映画
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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