幻の湖走る女 走る女 走る女 性風俗特殊営業による個室付浴場に「お市」という源氏名で務める尾坂道子(南條玲子)は、琵琶湖の湖畔を愛犬のシロと走るのが趣味。銀行員の倉田修(長谷川初範)からジョギングシューズを贈られて、本格的にジョギングをします。ある時琵琶湖のほとりで横笛を吹く男、長尾正信(隆大介)と出会い運命的なものを感じた道子は再会を誓います。 ところがある日、愛犬のシロが何者かに殺されてしまいます。大きく悲しむ道子は、シロを殺した犯人が売れっ子作曲家・日夏圭介(光田昌弘)であるとことをつきとめて復讐のために東京に行きます。東京ではかつての同僚だったローザ(テビ・カムダ)と出会いますが、彼女はなんとUSAの諜報部員で日本の調査のために性風俗特殊営業による個室付浴場に潜入捜査をしていたのでした。ローザの協力で日夏の居所を探り当ててジョギングで追いますが、鍛えているはずの道子は作曲家ごときに撒かれてしまいます。 失意のうちに琵琶湖に戻った道子は倉田のプロポーズに結婚を決意。ところがその数日後に横笛の男・長尾と偶然に再会します。そこで長尾は横笛と琵琶湖にまつわる昔の伝説を壮大なストーリー仕立てで延々と語りはじめます。そしてなんと長尾は自分の仕事が宇宙科学の宇宙パルサーという全然なんだか判らない胡散臭い研究をしていることを明かし、近くUSAに戻って宇宙船に乗ることを語って去ってきます。 そんな道子の前に店の客として現れたのが日夏。逃げる日夏を道子は仕事着の和服に出刃包丁を持って追います。逃げる日夏。追う道子。逃げる日夏。追う道子。逃げる日夏。追う道子。ジョギングでで鍛えている割には道子は作曲家ごときになかなか追いつけません。逃げる日夏。追う道子。逃げる日夏。追う道子。逃げる日夏。追う道子。体力も尽き、橋の上で日夏に追いついた道子は、何を思ったのかそのまま追い抜きます。「勝った!あたしが勝ったわよ!」と、勝どきをあげて喜ぶ道子。スポーツは全ての恩讐を彼方に追いやると思いきや、いきなり出刃包丁で日夏を刺す道子。血飛沫をあげる日夏。その瞬間、スペースシャトルが飛び立ちます。そこに乗っていたのは横笛の男・長尾。宇宙遊泳で「琵琶湖の上に横笛を置く」と、「琵琶湖。たとえこの琵琶湖がなくなっても、太陽系の消滅する45億年先まで、笛はこの幻の湖の上にある」と言って映画は終わります。 「かたすみの映画小屋」へようこそ。当映画小屋の映写機にかかる500本目の映画はこれです。 実は数字を数え間違えて『街の灯』を499本目にアップしてしまいましたので、500本目は悩みました(笑)。イタリア・マフィアの親分映画とか、「ひでおとかいてへろとよむ」映画とか、すばしっこい巨大トカゲが走り回るロード・ムービーとか、サメが人喰う映画とか、船が氷山にぶつかって沈没する映画とか、ひたすら入れ替わり立ち代り出てくるBon-Danceを見つづける映画とか、わがままなぼーさんが宇宙人だった唯我独尊映画とか、いろいろと頭に浮かびましたが、500にちなんで東宝創立50周年記念映画を選んだのが運の尽き(苦笑)。こんなエントリーを書くとまた寝込んでしまいそうです(笑)。 ということで、『七人の侍』を書いた三人の脚本家のひとり、橋本忍が監督を務めた東宝創立50周年記念映画『幻の湖』です。『砂の器』、『八甲田山』に続く橋本プロダクション制作作品第3弾という触れ込みのこの映画、あまりの「難解な」内容に3年前までDVDはおろかビデオ化もされていない幻の映画でした。 当blogでもなるべくあらすじは判りやすく噛み砕いて、ネタバレは避けるのを身上としていますが、この映画については私の理解力と筆力が遥かに及ばず、自分で読み返しても何のことだか判らないし、どこまでがネタバレなのかも判別が難しいものがありました(苦笑)。上映時間164分と、3時間近い映画なのですが、それだけの尺がありながら、想像するにサスペンスやら時代劇やらいろんなものを盛り込もうとしていっぱいいっぱいになっている気が。尺以上に長く感じる「お徳感」があるのかもしれませんけど(笑)。 なによりも露骨な伏線をこれでもかという具合にはっているのですが(苦笑)、解決までがロング・スパンすぎますし、何よりも「だからそれがなんなのだ?」と疑問に思うことも多数に。何よりも何を描きたいのか訳が判らない上に説明不足と変な伏線が交錯して、実にシュール極まる映画に仕上がっていいます(苦笑)。特にラストの畳みかけるような展開、スペースシャトルの打ち上げからに至っては、もう腹を抱えて大笑い。なんか見ながら頭のネジがひとつずつ外れていくような感覚にとらわれました(苦笑)。 しかしこの映画のDVDを6,300円と言う「東宝価格」で売り出す東宝も強心臓(苦笑)。映像特典なんて「特報2種」と「予告編2種」ぽっちしかついてないのに。最後に、そのDVDの謳い文句を引用させていただきます。現在でもオールナイト上映で満席になるのは、決して若い観客に支持されているからではないと思うんですけど(笑)。 何を追って、何を求めて人間は走り続けるのか------? 原作・脚本・監督の橋本忍は、黒澤明監督と「羅生門」以来良きパートナーとなり「生きる」「七人の侍」など多くの脚本を手掛けました。 本作は、現代の事件をきっかけに400年前の戦国時代から遠い宇宙まで、見果てぬ夢を追い続けて生きる人間を描くネオ・サスペンス。1年以上の長期ロケ-ション、豪華スタッフ・キャストで永遠のロマンの世界を描き出します。 主演はこの作品のために公募され、選出された南條玲子。さらに隆大介、星野知子、長谷川初範、北大路欣也、関根恵子ら異色のキャスト陣にも注目。 現在でも、オールナイト上映では満席になる程多くの若い観客に支持される「幻の湖」。これまでTV放映もビデオソフト化もされていなかった、まさに“幻”の作品がいよいよDVDで登場です。 【幻の湖 1982年 日本】
by santapapa
| 2006-06-02 01:23
| 邦画
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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