七人の侍黒澤明の代表作にして世界的に支持される傑作。この作品がなければ、『荒野の七人』のシリーズも、ロジャー・コーマン御大製作総指揮による『宇宙の7人』も生まれてなかったとも言われる映画です。 武力によって村を襲い食べ物や人をさらっていく野伏せりの集団に、百姓を営んでいる村人たちは大変悩まされていました。このままでは村は廃れる一方で飢え死にも必至、困り果てた村人たちは長老の儀作(高堂国典)の決断によって、あぶれている侍を探し出して雇うことを決定。万造(藤原釜足)、与平(左卜全)、茂助(小杉義男)、利吉(土屋嘉男)等がその命を受けて旅に出ます。糸口のない捜索に途方に暮れながらなんとか村の力になってくれる侍を見つけようとする一行。やがて、彼らの意気に絆された歴戦の勇士・勘兵衛(志村喬)を皮切りに、五郎兵衛(稲葉義男)、久蔵(宮口精二)、平八(千秋実)、七郎次(加東大介)、勝四郎(木村功)、そして菊千代(三船敏郎)といった七人が協力してくれることに。村に戻る一行ですが、村人たちは最初は侍たちを怖がって敬遠する始末。しかしだんだんと打ち解けていって、野伏せりを迎え撃つために着々と準備を始めますが・・・・・・。 1954年の邦画ですから、まだモノクロームの映像です。しかし、そんなことを差し引いてでも画面に吸い込まれるだけの、単純だけどわくわくする物語、登場人物のそれぞれの個性、画面に溢れる躍動感とを感じる映画です。全編に流れる泥臭さにたまらなくひきつけられました。 侍というのは本来、刀という武器を持って主君に仕える存在だったのでしょうけれども、近年主に使われているように、ここでの「侍」は精神性で気骨のある人物を示しているのは明白です。七人の侍は飯と引き換えに村を守ることに手を貸しますが、いくら明日の食事に困っていたとしても、本来釣り合う契約ではないでしょう。そして彼らは、同じ武器を使って殺戮と略奪を繰り返す野伏せりを退治することに、文字通り命を賭けます。 そしてまたもうひとつの主人公たちは、ギリギリまで追い詰められた百姓たちの姿です。百姓と十把一絡げに考えられがちですが、それぞれにいろいろな思惑とバックーボーンを持ち、その中で自分の生き方を選択していきます。利吉、万造、志乃等の村人の中から中心人物として描かれる何人かもいれば、名も無く討ち死にする村人もいました。 音楽は黒澤映画といえばこの人、早坂文雄です。有名なテーマ曲はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。武満徹や黛敏郎にも影響を与えた方だけに、(まだ私が生まれる前の話ですが)この映画の翌年に若くしてお亡くなりになったということが、とても残念です。 【七人の侍 1954年 日本】
by santapapa
| 2006-04-18 23:58
| 邦画
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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