クレージー黄金作戦当時、人気絶頂だったクレージーキャッツが主演を務めたクレージーシリーズの第9作目。当時、元気だった映画界の東宝創立三十五周年記念作品の大作。そして、日本映画としては初めてUSAでロケーションを行った映画です。音楽は宮川泰と萩原哲晶が担当。 僧侶である町田心乱(植木等)は競輪を始めとする博打に染まって寺は借金だらけに。遂には借金を返すために金友商事のにビジネスマンとして放り込まれてタダ働きさせられます。ところが上司の方言が元で夢に見るラス・ベガスに出張することになります。代議士の板垣重金(ハナ肇)は糞尿処理問題で男を上げて、ロス・アンジェルスに海外視察に行くように勧められます。病院に勤める医師の梨本金男(谷啓)は息を引き取る寸前の患者から遺産を託されて、看護婦の花園百合子(園まり)に振られたと誤解したのもあって、病院に辞表を出して遺産を受け取りにロス・アンジェルスに行くことに。この3人、ちょうどハワイ経由ロス・アンジェルス行きの飛行機で同席になって、意気投合します。ところが・・・・・・。 もうとにかく元気いっぱいの映画!楽天的なパワーを感じます。映画自体は2時間40分近くという長尺の映画で、目的地のラス・ベガスに着くのに1時間40分経ってから。かなりお腹いっぱいの映画です。後のある東宝創立五十周年記念作品みたいに、ひたすらマラソンと人を幻惑させるシナリオな映画ではありません(苦笑)。 東宝創立三十五周年記念作品だけあってゲストも豪華。ちょうどこの頃『007は二度死ぬ』に出ていた浜美枝、渡辺プロダクション3人娘のひとりの園まり、若大将・加山雄三、ハナ肇のところに来るデモ隊の面々は当時人気の出始めたドリフターズのメンバーだったりします(笑)。 大きな見所は2つ。ひとつは植木等、ハナ肇、谷啓の3人が苦労の末、ラス・ベガスに着くところ。いきなり3人が踊りだすミュージカル・シーンになり、他の役で画面をちょろちょろしていた桜井センリ、石橋エータロー、安田伸、そしてアメリカン・ネイティブ姿の犬塚弘が歌いながら合流。「金だ金だよ、キンキラキンのキン」と歌いながら、7人はラス・ベガスの真ん中で踊ります。うまく表現する語彙力をもたないのですが、とにかくバカバカしくてくだらないぐらいにかっこいい(笑)。日本映画としては初めてUSAでロケーションなのに、こんなことやってるんです(笑)。パワーを感じます。この「ハロー・ラスベガス~金だ金だよ」は宮川泰のメロディとゴージャスなアレンジによるスーダラな曲。日本でしか作れないサウンドです(笑)。 そしてもうひとつはその直後のラス・ベガスのホテル・リヴィエラでの「クレージーキャッツ・ショー」。 「クレージキャッツが日本から来てやってるんだよ」 「そんなの日本にいたっけか?」 と言いながら主役の3人が入ると、7人が弾く琴の調べが。これ、クレージーキャッツの面々の女装だったりするんですが、それの「春の海」をイントロにザ・ピーナッツが登場!!「ウナ・セラ・ディ東京」が軽快なボサ=ポップ風のアレンジで歌われます。その後はアレンジが変化するメドレー形式でザ・ピーナッツとクレージーキャッツを中心にジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ジャニーズなどが登場。丸々音楽コント風の場面も入れた「シャボン玉ホリデー」のような場面が展開します。このメドレー部分はショーの企画構成がハナ肇と谷啓。そして宮川泰の「ウナ・セラ・ディ東京」を中心にこれまた宮川泰の豪華で贅沢な編曲で演奏されます。はっきりいって、ザ・ピーナッツとクレージーキャッツの大ファン(私ですけど(笑))にはこの部分を見るだけのためにDVDを買っても損はないほど。 映画では他にも宮川泰の作曲による「何も言わないで」と「つれてって」という曲を園まりが歌っています。園まり、素敵です。萩原哲晶の「代議士ソング」、「星に願いを~ハリウッド・ブルーバードの唄」や、中村八大の「万葉集」という曲も歌のシーンで出てきます。そういえばハワイのビーチで植木等が「二人だけの海」を歌っていると水着美女が集まってきますが、その美女たちををすべて、ギターに乗せた歌でさらって行って「およびでない?これまた失礼しました」と言う加山雄三がお茶目です(笑)。 昔の日本人の夢と元気とスーダラが詰まった映画は、見ると嬉しくなってきますね。 ちなみに宮川泰がクレージーキャッツのメンバーとして誘われたのは有名な話ですが、結局参加しなかった訳はmusicman-netの「RELAY」にある「Musician's RELAY 第21回 作曲家 宮川 泰 氏」のインタビューを読んでみてください。「憧れのクレージーキャッツ!入り損ねたその訳は…?!」にその真相が(笑)。 【クレージー黄金作戦 1967年 日本】
by santapapa
| 2006-03-22 23:57
| 邦画
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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