ガメラ対大悪獣ギロンはるか昔、九州の片隅で。包丁にマジックで目を描いてこっぴどく怒られた子供がいましたとさ(笑)。 仲良しコンビの明夫(加島信博)とトム(クリストファー・マーフィ)、そして明夫の妹の友子(秋山みゆき)が遊びに出ると、空き地で誰も乗っていない銀色の空飛ぶ円盤を見つけます。好奇心から乗り込んで遊ぶ明夫とトムですが、空飛ぶ円盤のハッチはしまってしまうと友子を置き去りにして宇宙に飛び出してしまいます。2人を乗せた空飛ぶ円盤にあわや隕石がぶつかろうとする時に現れたのは宇宙を飛ぶガメラ。ガメラは隕石を破壊すると空飛ぶ円盤を地球に戻そうとしますが、円盤はスピードを上げるとあっという間にガメラを振り切って、荒涼としたとある惑星テラに到着します。そこで2人が見たものは、暴れまわる銀色の宇宙ギャオスとそれに向かっていく謎の怪獣・ギロンでした。地球ではガメラも大苦戦した(昭和ガメラー・シリーズ大3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』参照)ギャオスをその怪獣はいとも簡単に倒して切り刻んでしまいます。そしてその怪獣は明夫とトムの2人に目をつけたところで、転送装置で建物の中に入りました。そこには惑星テラの生き残り、バーベラ(甲斐弘子)とフローベラ(笠原玲子)が2人を待っていました・・・・・・。 昭和ガメラ・シリーズの第5作目。『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』の次に当たる作品で、前作から明確になった子供向けの路線+海外配給を意識した子役の路線を引き継いでいます。前作では宇宙から来た生物の話でしたが、この映画では子供が他の惑星に行くという設定。ピュタゴラス学派の昔から考えられていてSFではよく使われる、第10惑星ネタになっています。実際には重力変異が測定されるはずなので、地球と同じ軌道の反対側のラグランジュ点L3に惑星は存在していないそうなのですけど、そこはそこ。 この映画の最大の特徴はなんと言っても大悪獣・ギロンの造型でしょう。まるで包丁に手足をつけたような形は非常にインパクトがあります。さすがに包丁怪獣と名づけることはせず、大悪獣という判ったような判らないようなあだ名がついていたりしますけど。しかも、怒ると(?)頭部両脇のこめかみ(?)のあたりから手裏剣が浮かび上がり、発射されます。それもブーメランのように戻ってきたりします(笑)。地球の反対側の惑星だけにニンジャが別の形で発達したに違いありません。 そしてまずは銀色の宇宙ギャオス(肉は臭い(笑))と大悪獣ギロンとの眠い目対決。どっちも寝起きみたいな目をしていますが、怪獣同志ですからケモノの戦いですね。ギロンが宇宙ギャオスを切り刻むシーンは怪獣映画史上でもかなり残虐なシーンでもあるためか、USA版『ガメラ対大悪獣ギロン』の『ATTACH OF THE MONSTERS』ではカットされています。そして、ガメラとの対決。手裏剣が刺さって痛さにゴーゴーを踊っているのはさすがに時代を感じます。ガメラが「鉄棒技」を見せるのは、前年のメキシコ・オリンピックで日本男子体操陣が金・銀・銅メダルを多数獲得したのが大きな影響をあげているんでしょうね。アニマル1よろしくバババババンと日の丸揚げた頃だったのでしょう。 宇宙人が出るだけに空飛ぶ円盤や宇宙都市、ギロンを格納するギミックなどを見せてくれますが、中でもハイライトは言葉を自動翻訳してくれるウルトラスピーキングマシン。Excite翻訳も真っ青です(笑)。また、子供時代にもめちゃくちゃウケたのが、レーザーガンみたいにみえる電動バリカン(笑)。いや、機能はただのバリカンみたいですが他にもいろんな機能があるのかもしれません(笑)。 出演者の中にはイーデス・ハンソン、大村崑と言った懐かしい名前も。巡査を演じる大村崑は、当時オロナミンCのCMなどで流行った「うれしいとメガネが落ちるんですよ」というギャグを見せてくれます。 【ガメラ対大悪獣ギロン 1969年 日本】
by santapapa
| 2006-03-02 07:27
| 邦画
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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