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ルパン三世 念力珍作戦

ルパン三世 念力珍作戦

邦画の鬼門のひとつに、「マンガ、アニメーションの実写化」というのがあるそうな。実際のところ、実績のあるマンガ、アニメーションの客の何割かを客として取り込めるそろばんが立つ上にタイアップなどできるので、そういう企画は後を絶たないようですが、問題はマンガやアニメーションと実写のギャップは大きかったり、場合によってはそもそも映画としていかがなもんかというものが作られたりしているとか。よぉ、知らんけど(苦笑)。



フランス生まれの怪盗アルセーヌ・ルパンの息子ルパン二世はルパン帝国を築きあげますが、マカローニ一家に潰されて、日本人を母に持つその息子のルパン三世(目黒祐樹)だけが生き残り、日本の教会で育っていました。一族の血をひくルパン三世は子供の頃から盗みの才能を発揮しますが、大の女好き。運転中に護送車で連行される途中の峰不二子(江崎英子)に惚れて刑務所から助け出します。警視庁では銭形平次の子孫の銭形警部(伊東四朗)、大岡越前守の子孫の大岡(人見明)、遠山金四郎の子孫の遠山(江幡高志)がルパン逮捕に奔走します。そこにルパン三世を探すルパン帝国の生き残り・次元大介(田中邦衛)が現れてルパンと行動を共にします。そして世界宝石展開催中の会場から宝石を盗む計画を・・・・・・。

監督は『クレージーの無責任清水港』を始めとして往年のクレイジー・キャッツ映画を撮った坪島孝。『へんしん!ポンポコ玉』、『クレクレタコラ』といったテレビ番組の監督もしています。正直、登場人物があまり原作やアニメーションに似てないとか、なんで次元大介が田中邦衛なのだとか、ギャグが思いっきり寒くて滑っているとか、演出が全編脱力だとか、展開がぬるくてゆるゆるだとかありますが、私は結構きらいじゃないです(笑)。登場人物の性格付けはそれなりにルパン三世の登場人物らしい性格付けに近いですし、ストーリー仕立てもそんなに悪くもなく、ギャグと演出がもっとよければ気楽に見ることが出来るおバカ映画ではないでしょうか。DVDの監督インタビューによれば、原点はチャップリンやキートンの頃のコメディだそうで、なるほど『黄金狂時代』オマージュの場面があるのも納得です。

峰不二子役の江崎英子は『大江戸捜査網』に出ていたりしていましたが、アクションができるということでこの映画に抜擢されたとか。冒頭から小島三児や青空球児・好児が出たり、殺し屋に前川清や大泉滉、天本英世が扮していったり、安西マリアが通りすがりにブラを掏られたり、夏樹レナが浅間山子という役名で出たりと意外に出演者からも目が離せません。あと、マカローニ一家に指令を出す『スパイ大作戦』ばりの声はもちろん大平透。忘れてはいけないのがまだ6人編成時の、歌って踊れる女性グループ・ポピーズが殺し屋で出ています(笑)。これ見るまでポピーズなんてまったく忘れていました。あったなあ、そういうグループ。

ちなみに監督インタビューによれば、タイトルの『念力珍作戦』は、当時ユリ・ゲラーが流行っていたために東宝が「このタイトルをつけなさい」と通告してきたそうで(苦笑)。ところでこの映画、企画が赤塚不二夫・中山千夏となってて、2年前の小池一雄原作の『高校生無頼控』の映画化といい、そういうこともやっていたんですね。 アニメーションのファンにはなべて不評であろうこの映画(苦笑)、もちろん万人にはお薦めできませんが、ゆるゆるでも大丈夫で興味のある人にはマッチする可能性があるかも。


【ルパン三世 念力珍作戦 1974年 日本】
by santapapa | 2006-02-19 22:42 | 邦画
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