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華麗なるヒコーキ野郎

華麗なるヒコーキ野郎

人類が有人動力飛行に成功してからわずか102年。飛行する機械=ヒコーキは恐るべき驚くばかりの速さで発展を遂げました。特に人が持っている空を飛ぶこと対しての果てしない浪漫があることが、大きな原動力でもあるのでしょう。時にそれが死を厭わないものであっても。



第一次大戦がやっと終結したばかりの1920年代のこと。USAでは単発プロペラの複葉機で田舎町を訪ねて人々を飛行機に乗せたり曲芸飛行をして見せる商売=バーンストーミングを生業としている人たちがいました。多くは第一次大戦中に飛行機で戦っったことによって飛行機の魅力にとりつかれた者たちで、ウオルド・ペッパー(ロバート・レッドフォード)もそんな一人でした。ある田舎町を訪ねたところ、既にアクセル・オルソン(ボー・スベンソン)という元空軍大尉が2年も活動していて我が物顔の態度をとっています。ペッパーは協力するフリをしてオルソンの愛機のタイヤを外したため、胴体着陸するはめに。しかえしにオルソンは、ドイツ空軍のエースのエルンスト・ケスラー(ボー・ブルンデン)と五分に渡り合ったというペッパーの自慢話を大ボラであると人々に吹聴してまわり、メリー・ベス(スーザン・サランドン)と組んだりします。その憧れのケスラーがドク・ディルホファー(フィリップ・ブランズ)の率いる航空サーカスのメンバーとして巡業していることを知ったペッパーとオルソンは、見物に行ってそのサーカスに参加しようとします・・・・・・。

第一次大戦によって皮肉にも飛行機の性能は飛躍的にアップしましたが、この時点でも動力機の発明からわずか20年しか経ってはおらず、飛行機に乗るということは未だいくばくかの死と隣あわせの状態であった時代です。ライト兄弟が初の有人動力飛行に成功した1902年に生まれたチャールズ・A・リンドバーグが、初めて大西洋単独無着陸横断飛行に成功したのは1927年のことになります。

クラシックで優雅な複葉機のタイトル通り華麗なる飛行の数々、大空に賭ける人々の魂などに興奮した映画です。映画の中での出来事だと判っていても手に汗握るシーンも多く、高いところがだめな人にはある意味ちょっとたまらない映画ではないでしょうか(笑)。メリー・ベスのシーンなんか、昔、私は思わず声を出してしまいましたよ。またラストの憧れの人との空中戦とラスト・シーンは心がちょっと締めつけられると同時に清々しさを送り込んでくれました。

冒頭の少年が出てくるシーンもとても好きです。少年の空を、飛行機を見つめるまっすぐな目が憧れをよく表しています。

音楽は巨匠ヘンリー・マンシーニ『グレート・レース』にも似たノスタルジックなスコアを散りばめています。


【華麗なるヒコーキ野郎(THE GREAT WALDO PEPPER) 1975年 USA】
by santapapa | 2005-10-18 23:25 | 洋画一般
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