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007は二度死ぬ

007は二度死ぬ〈特別編〉

1962年の『007/ドクター・ノオ』以来、好評を博してシリーズ化されたイアン・フレミング原作、ショーン・コネリー主演のスパイ映画『007』シリーズ。その第5弾は日本を舞台にした『007は二度死ぬ』でした。



地球の軌道に乗ったUSAの有人宇宙船・ジュピター16号に謎の宇宙船が近づいて通信が途絶え、忽然と姿を消すといった事件が発生。国際会議の席でUSAはソビエト連邦を非難しますが、イギリス情報部は謎の宇宙船が日本から発射されているという情報を得て、007ジェームス・ボンド(ショーン・コネリー)を英領香港経由で日本に潜入させます。調査の最中に大里化学に進入することになったボンドはそこで手に入れた情報と、秘密警察のトップであるタイガー田中(丹波哲郎)と部下のアキ(若林映子)の協力もあって、大里化学の貨物船の停泊する神戸に急行します・・・・・・。

前作『007/サンダーボール作戦』に続いて暗躍する国際的陰謀団スペクターを相手に、ショーン・コネリー扮する007ジェームス・ボンドが活躍する映画です。今回はのっけから、ちょうど1965年に打ち上げられたジェミニ計画の宇宙船をモデルにしたようなジュピター16号の宇宙空間の場面から始まるといったスケールの大きさ(当時比)。毎度の格闘アクションにカー・チェイス、ミニ・ヘリコプターなどの秘密兵器、大掛かりなスペクターの秘密基地、大勢のニンジャ軍団の活躍と見所満載になっています(当時比)。特にスペクターの秘密基地は当時のお金で100万ドルをかけただけあって、セットとは言ってもちょっとしたドーム施設の建造物を鉄骨組んでひとつ立てただけあって、特殊撮影ではない実物なりの迫力がありました。ラストのいつものオチもお金かかってますわなあ。荒唐無稽、大風呂敷な映画ですが、娯楽大作に仕上がっています。

ちなみに、この映画は『007』シリーズの中でも『オースティン・パワーズ』の元ネタが盛りだくさん。それだけ「心をくすぐる」ものがあったのでしょう。

一方、1960年代に欧米から見ての極東の島国を舞台にしているだけあって、なかなか笑える描写が多いのも事実(苦笑)。もっとも、最近では是正されているかと言われればそうでもないのが悲しい事実ですけど(苦笑)。

まず大里化学の持ち船の名前がNING-PO(爆笑)。忍法ですよ?じつにあやしい(爆笑)。そしてその忍法丸が立ち寄った島が神戸と上海の間にあるマツという島だということだそうで(笑)。そこで秘密警察の長であるタイガー”丹波哲郎”田中がボンドを案内したのが、姫路城の中でニンジャの訓練を行う面々。カラテ、ケンドー、シュリケンなどの訓練をしていましたが、気になったのは真剣で人をぶった斬ってた人(苦笑)。敵でもないのにいいんでしょうか?(苦笑)

そしてすごいと思ったのが、タイガー”丹波哲郎”田中がボンドに「人の目を欺くために、日本人の漁師になって海女と結婚しろ」というところ。カツラや染料で変装させますが、日本人の漁師どころかどう見てもアヤシイガイゴクジンにしか見えません。しかも擬装結婚した浜美枝とは英語でしゃべりまくるし。ケンブリッジ大学仕込みの日本語というのはウソだったんでしょうか?(苦笑)

DVDの特典に映画のメイキングと称して裏舞台のドキュメントがありますが、これが本編に負けず劣らず面白いので必見です。優秀なヘリコプターのカミカゼ・パイロットの話や、浜美枝が英語の覚えが悪く監督が丹波哲郎を通じて降板を告げたところ「ホテルから飛び降りる」と言われて慌てて浜美枝と若林映子の役柄を入れ替えてしのいだ話、この映画で足を切断する事故に逢っても最後に復帰してカメラを持ち『キャッチ22』で転落死するまで空中撮影に賭けた空中カメラマンのジョニー・ジョーダンの話、最初チェコスロバキアの名優をスペクターのボスであるブロフェルドに採用したところサンタクロースみたいな好好爺で全然感じが出ずに5日で降板させた話(猫を抱いた写真入り。確かに本当にすごく人がよさそうで、見ただけで大爆笑)、巨大秘密基地のセットの建造現場写真など、こちらも見所がたくさんです。

音楽はおなじみジョン・バリー。主題歌はナンシー・シナトラの歌う「YOU ONLY LIVE TWICE」で、イントロの弦のフレーズが美しい曲です。残念ながらアレンジを変えても格闘シーンには合わないメロディではありました(苦笑)。


【007は二度死ぬ(YOU ONLY LIVE TWICE) 1967年 UK】
by santapapa | 2005-10-11 00:58 | 洋画一般
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