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殺しの烙印

殺しの烙印

「web-tonbori堂ブログ」「清順先生はお元気である」というエントリーに『殺しの烙印』の話題が出ていたので、それをきっかけに採り上げてみました。



プロの殺し屋である花田五郎(宍戸錠)はその世界ではNo.3として知られています。花田は相棒の春日(南廣)と共にある組織の幹部を護送する途中で襲われたものの、持ち前の拳銃の腕で危機を切り抜けて無事目的地に送り届けます。その後、花田は薮原(玉川伊佐男)から4人の人間を殺す依頼を受けます。花田は次々と標的を殺していきますが、最後のひとりの外国人を殺すのに失敗。一転して組織から狙われる立場になります。組織は殺し屋として中条美沙子(真理アンヌ)を差し向け、妻・真美(小川万里子)のいる自宅に帰った花田は・・・・・・。

鈴木清順監督の日活での最後の作品です。後の『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』などで見せる独特の話運びと演出、美術の片鱗がここでも現れています。

無国籍というよりもどこか閉ざされた架空の空間での出来事のような一種不思議な舞台で、和風ハードボイルドみたいなストーリーが展開されます。シリアス風でありながら、なんとなく見ながらニヤニヤしちゃうんですけどね(笑)。冒頭と最後での字余りで若干音程の正確さに不自由している歌にはちょっと参りましたが。

この映画を見て唐突に思い出したのが、かつて大橋巨泉と前田武彦が司会をしていたショート・コント集の番組「ゲバゲバ90分」。その中で、宍戸錠扮するエージェントの宍戸錠が毎回大ピンチに遭遇したところで「続く」になり、その次の回ではなんの説明も無く場面が展開していて、「奇跡的に助かった宍戸錠は~」というナレーションで始まるという連続コントがありました。最後は風呂でくつろいでいたら眠っておぼれ死ぬというオチでしたが、これなんかは宍戸錠のキャラクターを大きく生かした賜物でしょう。なんだかこの映画に通じるものもあります(笑)。

音楽の担当は、翌年「大きいことはいいことだ」という村瀬尚の詞による森永エール・チョコレートのCMソングを作って、自らもCMに出てお茶の間に名前を知られるようになる山本直純。ジャズ風の曲を中心に、いろんなアレンジでの曲を書いて器用さを発揮しています。


【殺しの烙印 1967年 日本】
by santapapa | 2005-05-28 22:23 | 邦画
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