カテゴリ:映画本( 13 )

私は「蟻の兵隊」だった

私は「蟻の兵隊」だった―中国に残された日本兵

映画『蟻の兵隊』の上映に先立ち、岩波ジュニア新書から発売された図書です。『私は「蟻の兵隊」だった -中国に残された日本兵-』というタイトルで、名義は元日本兵で体験者である奥村和一と聞き手の酒井誠。最終章の「映画『蟻の兵隊』を巡って」では監督の池谷薫も対談に参加しています。

時系列に添って系統立てて書かれているために非常に読みやすく理解しやすい本。人によって好みはあると思いますが、対談形式であることも読みやすさのひとつかもしれません。私はこの本を読んで映画に興味を持ち、見に行きましたが、本の性格上情報量が多いので読んでおいた方がより深い理解につながると思います。

映画本編では触れられなかったことも多く、特に資料探しに図書館通いをして防衛庁防衛研究所図書館などの資料を調べたところ、後に情報公開法の施行後に資料の一部があたかもなかったように削除されていたというのは興味深い話でした。ちょうど先日文庫化されて読んだ『隠された証言 -日航123便墜落事故-』(藤田日出男・著/新潮文庫)にもまったく同じように情報公開法の施行後に資料が隠されていくことに対する記述があり、故意の隠蔽によって情報公開法の趣旨を亡き物にしようとする姿勢がいたるところにあることを感じます。何のためにそのようなことをするのか、意図はほぼ明確です。その行き着く先に真実を見つけることはとうてい無理でしょう。しかし、そのような社会を作り出している人が確実にいるのです。

なお、以前にも黒木和雄監督の『私の戦争』で述べたように、私は岩波ジュニア新書はいい本が多いと思うのですが、どの新書にも奥付の次の頁にある「岩波ジュニア新書の発足に際して」は、折に触れて読み返す文章です。
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by santapapa | 2006-08-09 23:03 | 映画本

大怪獣ガメラ

大怪獣ガメラ

映画のノベライス、映画のマンガ化というのをタイアップも含めて少なからず目にする機会がありますが、よく思うのが「ストーリーが違う」ということですね。作者の作家としての本能があったりするのか、はたまた変えてほしいという要望があるのか、子供の頃は納得がいかなかったりしていました。面白ければ何でも許すと思う現在も、なかなか本編の映画を越えたノベライスに出会えることはあまり多くはありません。

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by santapapa | 2006-07-04 23:55 | 映画本

ガメラ創世記 映画監督・湯浅憲明

ガメラ創世記 -映画監督・湯浅憲明-

一昨年(2004年)の6月にお亡くなりになった湯浅憲明監督。その生前に唐沢俊一がインタビューをしてまとめたものが1995年に出版された『ガメラを創った男 評伝 映画監督・湯浅憲明』ですが、この春にその本を改訂してエンターブレインから出されたのが『ガメラ創世記 映画監督・湯浅憲明』です。両書籍共に出された時期に事情を感じたりしますけど(笑)、内容は実に面白くガメラ・ファンには読み応えのある本です。

ご存知の方も多いとは思いますが、湯浅憲明は昭和ガメラ・シリーズのすべての作品にスタッフとして参加しています。この本では映画の世界に入った時から、大映での出来事、ガメラのことについてなど、多くの面白いエピソードが語られています。このあたり、「時代」を生きてきた人の生の声だなと思いますね。各作品の詳細なデータもあり、面白いのが『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』と『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』の紙上ビデオ・コメンタリー。映画をよく見て知っているだけに、読みながら場面が眼に浮かぶこと浮かぶこと。

一番印象に残ったエピソードは、ガメラ・マーチについて(笑)。

オープニングで主題歌が流れるようになったのもこのバイラスからですね。永田専務の作詞ですよ。もうはりきって会議室から出て来てね。みんなに、「オイ、ガメラの歌ができたから、みんな聞け!」と言って、「ガメラ、ガメラ、強いぞガメラ・・・・・・」と朗読するんです。
そしたら専務ですからね、みんな拍手しないわけにはいかないじゃないですか。そしたら、
「湯浅くん、みんなが感激して、いいと言ってたから、これを使ってくれ!」って(笑)。
で、広瀬(健次郎)さんに作曲してもらってレコーディングするんですよ。あれ、「大映児童合唱団」って書いてますがウソでね、そんなものないんですよ。そこらの子を集めてきて歌わせたんです(笑)。
でも、聞いているうちにこれ、覚えちゃうようないいメロディーですよね。

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by santapapa | 2006-07-03 23:58 | 映画本

とり・みきの映画吹替王

とり・みきの映画吹替王

ビデオもなく、映画に行けるのは年に数度のハレの日だけ。そんな子供時代の楽しみのひとつはテレビの洋画劇場、時に野球中継が雨天で中止になった時の代替番組の映画でした。そういえば昔は阪神甲子園球場に限らず、ドーム球場なんていうものもどこにも存在しなかったんですよね。そんなテレビの洋画劇場では、驚くかな異人さんたちが日本語でしゃべっていたのです!もちろんそれは吹替えと言って、映画の画面に日本で声優が声を当てたもの。あまりに自然なので子供の頃にはそういうこともわからなかったんですね(苦笑)。そういえば「After Recording」を「アフレコ」と言うひどい日本語もありましたが、声を当てるので「アテレコ」などと言うもっとひどい日本語も存在していました(苦笑)。

折に触れて読み返す愛読書が一昨年に洋泉社から出た『とり・みきの映画吹替王』。スカイパーフェクトTVと「映画秘宝」の記事が元の洋画・海外ドラマのベテラン声優との対談集で、これが実に充実した内容です。まず対談のメンバーが豪華です。

大平透・中村正・矢島正明・小原乃梨子・宮部昭夫・家弓家正・納谷悟朗・森山周一郎・小林清志・富田耕生・池田昌子・大塚周夫・・阪脩・野沢那智・鈴木弘子・玄田哲章・江原正士・広川太一郎・ささきいさお・羽佐間道夫・羽佐間道夫・山寺宏一・若山弦蔵といった面々。

そしてその道の一線でプロフェッショナルの仕事をしている方々ばかりなので、エピソードや心構えなど、どれも頷いたり感心させられるような言葉がそこここに散りばめられています。主宰のとり・みきの話の引き出し方も見事ですし、大変読み応えのある充実した内容。

本自体もいい紙を使っているので物理的に重量感もあるのですが(笑)、内容的にもずっしりと重量感のある本です。興味のある向きはぜひ手にとってみられることをお薦めします。書店でちょっと中を読んでいるうちに止まらなくなり、そのままレジに持っていったのは私です(笑)。
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by santapapa | 2006-06-29 23:42 | 映画本

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険

1982年の映画『ミッシング』は、チリのピノチェト将軍による軍事クーデターの虐殺とその裏側をモデルにした映画として有名ですが、亡命中でありながら変装をして戒厳令と圧政の続くチリに潜入、そうして命がけで撮られたドキュメントがミゲル・リッティン監督の『戒厳令下チリ潜入記』。残念ながら私はこの映画を見る機会に恵まれたことがなく、ビデオやDVDが出ているかどうかも定かではありません。その監督の体験を「百年の孤独」で有名なノーベル賞作家、G・ガルシア=マルケスが書き綴ったのが、岩波新書から出ている『戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険』です。

ここではジャーナリストであるガルシア=マルケスの綿密な取材によって、リッティン監督のいろいろな思いが入り混じる心の動きも含めたチリへの潜入の様子は、刺激に満ちて事実だと知らなければ危機と波乱に富んだ小説と錯覚してしまいそうな内容です。ガルシア=マルケスの筆力も大きいのでしょうが、やはり命にもかかわる非日常性の部分が大きく締めるというところがあるのでしょう。外の国から見かけたのでは判らない戒厳令下の状況が、祖国を思い偽りの仮面を身につけたリッティン監督の視点で描写されていきます。

映画人としての良心の行動の記録であり、かなり読み応えのある秀逸なドキュメンタリーではあるんですが、どうも現在では絶版になっているみたいなのが残念。映画のソフト化と共にぜひ、復刊してほしい本のひとつです。
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by santapapa | 2006-06-28 23:58 | 映画本

たたかう映画

たたかう映画

『女ひとり大地を行く』などで知られる映画監督・亀井文夫が岩波新書に書いた自伝が『たたかう映画 -ドキュメンタリストの昭和史-』です。タイトルの通り、亀井文夫が戦中戦後と映画を通してたたかってきた軌跡がここに綴られています。

1939年に国策映画として作られた『戦ふ兵隊』に演出として参加した亀井文夫が軍部の意向沿わないために上映禁止、治安維持法によって逮捕・投獄され、戦争責任を問う戦後第1の作『日本の悲劇』がGHQに没収されたくだりにも触れています。『戦ふ兵隊』においては現場やどのように撮られたかが本人の筆によって書き記されているだけに貴重です。そして、「記録映画を考える」、「記録映画と真実と」という節では、亀井文夫のドキュメンタリーに対する思いが綴られていて、広く報道に共通するべき考えのひとつではないかと思います。

平易な文章で書かれていて読み応えのある良書ですが、1989年の出版(岩波新書 新赤版 82)で再販があるのかどうか。図書館あたりには置いてあることが多いかもしれません。
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by santapapa | 2006-05-05 23:58 | 映画本

武部本一郎SF挿絵原画蒐集 1965~1973〈上〉

武部本一郎SF挿絵原画蒐集 1965~1973〈上〉

基本的に「映画本」は買った本を紹介するエントリーで(『実写版 アクションポーズ集 侍・忍者編』まだ買ってません(笑))、その上この本は正確に言うと映画本ではないのですが、『コナン・ザ・グレート』や『ターザン』の原作も入っているということで、お許しあれ。

本日、書店で見かけてびっくり!こ、こ、こ、こ、こんな本が出てたとですか!!ラピュータ社刊の『武部本一郎SF挿絵原画蒐集 1965~1973〈上〉』!!(←出版元リンク先に見本画像あり!) 監修が加藤直之!! A5判496ページフルカラー!!!(イラストがモノクロのものも多いですが、印刷は「カラー」です)  ぐおおおおおおっ!!ほ、ほしいっ!!

定価税込6,300円という松屋の牛めし18杯相当なので、本日は即金で購入できませんでした(苦笑)。しかし内容はもちろんのこと、ページ数を考えてもコスト・パフォーマンスの高さは特筆ものですし、こういうのは廃刊になったら二度と出ない類の本なので、いつかは絶対に買うぞと心に誓って本屋を後にしたのでした。本屋でこれだけ取り乱したのは、久しぶりのことです(笑)。

ちなみにラピュータ社のサイトによれば、出版を記念して6月3日(土)に東京の青山ブックセンターで、『加藤直之が語る「SFアートの父・武部本一郎」』というトークショーが(有料らしいですけど)あるそうな。下巻の発行は5月中旬の予定だということです。
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by santapapa | 2006-04-26 20:37 | 映画本

私の戦争

私の戦争

先日お亡くなりになった黒木和雄監督が2年前の夏に脱稿した著書。岩波ジュニア新書にはジュニアと言いながら充分大人向けの読み応えのある本が多いのですが、これもそのひとつ。

5歳の時の衝撃的な体験から始まり、満州での生活(秋吉敏子と同級生だったそうです)、えびのに移り住んだことと『美しい夏キリシマ』の話、映画監督になるまでと劇映画を撮り始めて『とべない沈黙』、そして『キューバの恋人』についてちょっとだけ。テレビドラマ『かよこ桜の咲く日』がきっかけになって『TOMORROW 明日』や『父と暮らせば』が形作られたことなどが書かれています。

ずいぶんといろんば経験をした中で自己を見つめ、それが映画に反映されている様子がよく判り、特に晩年の3部作の解題の書ともなっています。その中でやはり一本すうっと筋の通った考え方が感じられます。とても読みやすく、映画を見ていない人にも納得できる内容の本です。
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by santapapa | 2006-04-24 22:53 | 映画本

香港アクションスター交友録

香港アクションスター交友録

日本の誇るアクション・スター、倉田保昭が洋泉社から一昨年出した最新著書(多分)。倉田保昭がこれまでに出会って共演し、親交を深めた香港アクションスターについて、1人当たり10ページぐらいに割合で語った本です。その数や、20人で以下の通り。

ブルース・リー、デビッド・チャン、ティ・ロン、ジミー・ウォング、チェン・シン、チェン・カンタイ、ブルース・リャン、ヤン・スー、ノラ・ミャオ、チャーリー・チャン、ラウ・カーリョン、ジャッキー・チェン、サモ・ハン、ユン・ピュウ、リー・リンチェイ、チョウ・ユンファ、ウー・スーユエン、サミュエル・ホイ、千葉真一、ジョン・ウー。

なんでか、サニー千葉も混じっていますが(笑)、この項では、共演をしたいのにこの時点では映画で共演ができなかった千葉真一への熱い想いが文章の端々からにじみ出ています。好漢ですなあ。その他の方の項目では、他の著書やインタビューなどでも触れられていることも多いのですが、波乱に富む奇譚に「ホントかよ?」と思いながらも楽しみながら読み進めてしまいますなあ。

当年とって60歳。未だ現役バリバリの倉田保昭には、いつまでも活躍してほしいものです。でもあまりムチャはしないでほしいなあ。
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by santapapa | 2006-04-18 23:57 | 映画本

香港電影 燃えよ!スタントマン

香港電影 燃えよ!スタントマン

この夏、製作統括&特別出演・倉田保昭で公開される『マスター・オブ・サンダー 決戦!!封魔竜虎伝』の監督、谷垣健治の小学館から出ている著書です。

1993年に裸一貫で香港へ渡って叩き上げてスタントマンとして認められ、今では甄子丹(ドニー・イェン)の右腕として、また監督・アクション指導・俳優・スタントとして活躍する谷垣健治の、初期の頃について筆を執った本。小田実の『なんでも見てやろう』にも通じるまだ見ぬものに対しての貪欲な精神が心地よいです。香港に渡って香港スタントマン協会の一員にもなり、苦労の末にだんだん認められていく課程が描かれているので、なかなか面白く興味深く読めます。また裏話も多く、とくにスクリーン上ではうかがい知れないドニー・イェンの人柄が見れたり、ワイヤーの材料などが解説してあったりと内容も多岐に渡っています。さすが、後に『ドニー・イェン アクション・ブック』で脚注を担当しただけあります。

『冷戦』『SPL/狼よ静かに死ね』には俳優としても出演していますが、これからも幅広い活躍を期待したいものです。蒼井そら主演の『くノ一五人衆VS女ドラゴン軍団』は見たいような、見たくないような(苦笑)。


KENJI TANIGAKI Official Site
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by santapapa | 2006-04-14 23:53 | 映画本