2006年 06月 28日 ( 2 )

ミッドナイト・ミッシング

ミッドナイト・ミッシング

1988年に日本公開された時には『ナイト・オブ・ペンシルズ』というタイトルだったアルゼンチンのこの映画。英題の『The Night of the Pencils』も、スペイン語の原題『La Noche de los Lapices』からきています。「鉛筆達の夜」の鉛筆とは学生のことを軍部の兵士があざけって言った言葉。軍部から危険視されたただの学生たちが軍事クーデターを期に新政権の組織に一斉に誘拐監禁されて、拷問の末に「行方不明」になったことを指しているそうです。冒頭には以下のテロップが流れます。

「この映画は事実に基づいて作られ登場人物もすべて実名である。問題の事件はアルゼンチンで起きた」

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by santapapa | 2006-06-28 23:59 | 世界の映画

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険

1982年の映画『ミッシング』は、チリのピノチェト将軍による軍事クーデターの虐殺とその裏側をモデルにした映画として有名ですが、亡命中でありながら変装をして戒厳令と圧政の続くチリに潜入、そうして命がけで撮られたドキュメントがミゲル・リッティン監督の『戒厳令下チリ潜入記』。残念ながら私はこの映画を見る機会に恵まれたことがなく、ビデオやDVDが出ているかどうかも定かではありません。その監督の体験を「百年の孤独」で有名なノーベル賞作家、G・ガルシア=マルケスが書き綴ったのが、岩波新書から出ている『戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険』です。

ここではジャーナリストであるガルシア=マルケスの綿密な取材によって、リッティン監督のいろいろな思いが入り混じる心の動きも含めたチリへの潜入の様子は、刺激に満ちて事実だと知らなければ危機と波乱に富んだ小説と錯覚してしまいそうな内容です。ガルシア=マルケスの筆力も大きいのでしょうが、やはり命にもかかわる非日常性の部分が大きく締めるというところがあるのでしょう。外の国から見かけたのでは判らない戒厳令下の状況が、祖国を思い偽りの仮面を身につけたリッティン監督の視点で描写されていきます。

映画人としての良心の行動の記録であり、かなり読み応えのある秀逸なドキュメンタリーではあるんですが、どうも現在では絶版になっているみたいなのが残念。映画のソフト化と共にぜひ、復刊してほしい本のひとつです。
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by santapapa | 2006-06-28 23:58 | 映画本