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コヤニスカッティ

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アメリカン・ネイティブのホピ族のことばで「バランスを失った世界」という意味を表す言葉、『コヤニスカッティ』。この言葉を繰り返し呟く静かな音楽と共に映画は始まります。



MGMのアイ・キャッチャーに始まって、「Francis Ford Coppola Presents」の文字(監督はゴッドフリー・レジオ)。90分弱の上映時間の間、セリフやナレーション、説明に用いるスーパー・インポーズは一切ありません。空から映したり、高速度カメラを使ったり、いろいろな編集テクニックは使っていますが、ただただ画面は自然を始めとする事象を映し出していき、絶え間なく後ろには音楽だけが流れます。

太古を思わせる赤茶けた峡谷、美しく流れる雲、山と湖、雄大にうねる海。徐々に人の証しが現れ、ビルが建ち、人々が行き交い、車が走る。月がビルの間から顔を見せ、遂にはロケットが宇宙を目指して飛び立ちますが・・・・・・。

一見風景を見せているだけの環境ビデオのようにみえるそれは、しかし意思を持った脚本の元に、あるものを我々に突きつけます。文明がもたらした今の現状の社会に対する疑問がそこにあるのではないでしょうか。

全編をミニマル・ミュージックの提唱者の一人であるフィリップ・グラスの音楽が流れています。場面にあわせたシークエンスの演奏は時には祈りにも似た荘厳さをもち、時には突き放すような冷たさをもって画面を彩ります。

レーザー・ディスクの頃に何度と無く繰り返し見ていますが、テーマ、映像を含めて今なお古さを感じさせず飽きない作品です。


【コヤニスカッティ(Koyaanisqatsi) 1983年 USA】
by santapapa | 2004-11-04 21:19 | ドキュメンタリー映画
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