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バスを待ちながら

Lista de Espera

2年前に日本公開されたキューバの映画です。キューバの映画は1994年に日本公開された『苺とチョコレート』が有名ですが、その映画でアレア監督と共同監督を務めたタビオが監督を務めた美しくも優しい愛すべき映画です。



キューバの田舎町のバス待合所では、なかなか来ないバスを多くの人が待っています。時間に遅れたバスがたまについてもほとんど満員で1人乗せたら走り去っていったりします。待ち続けるしかない人々の中でエンジニアのエミリオは放置された壊れたバスの修理をしますが、出発しようとしたとたんにまた故障してしまいます。エミリオの呼びかけで待ち合わせている人たちでバスの修理が始まります。その中で見知らぬ他人だった人たちがだんだん話をするようになって、次第に連帯感を持ってきます。バス待合所は皆の手でペンキの塗りなおしが行われて、住めるように改装していって、そして・・・・・・。

「松の木ばかりがまつじゃない」という言葉がありますが、彼の国では「1日に1つのことを成し得たら上等」と言われるぐらい待たされることが日常茶飯事です。以前に書いた1994年9月にボーヤで行った時の話ですが、まずハバナからサンティアゴ・デ・クーバへ移動するので、朝7時にホテルのロビーで集合ということでした。メキシコのバンドと一緒の飛行機でチャーター機で行く予定です。ところがいつまでたっても出立の連絡が来ません。メキシコのバンドの連中はギターを弾きながら陽気に歌っています。10時頃、ようやくバスの用意ができたとかで、空港まで出発。30分後には空港に着きました。

そこで空港のロビーで飛行機の準備を待つのですが、これがまたなかなか連絡がきません。メキシコのバンドの連中はギターを弾きながら陽気に歌っています。メキシコのバンドのマネージャーの人は昔日本のメキシコ大使館にいたとかで、日本語で話しかけてくれました。そうしてる間にようやく14時過ぎに飛行機に乗り込むことができました。旧USSR製の100人乗りぐらいのプロペラ機で、操縦席と客席の間は布のカーテン、内装の壁は押すとへこむビニールでした。乗り込んでから飛び立つまでしばし待つことに。その間、メキシコのバンドの連中はギターを弾きながら陽気に歌っています。

やがて離陸した飛行機は一路サンティアゴ・デ・クーバへ。揺れることもなく機内で出たキャラメルを食べながら1時間ほどで着陸。見事なソフト・ランディングで乗客は思わず拍手。メキシコのバンドの連中はギターをかき鳴らし、メキシコのバンドのマネージャーは大声で「ソーラン節」を歌い始めました。

その他にも、サンティアゴ・デ・クーバに着くまで泊まるホテルが決まってなかったり、サウンド・チェックが終わった後に会場の変更があったりと、日本にいた時のペースで物を考えてはいけないと思い知らされました。おおらかでないととても暮らしていけません。

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』もそうでしたが、キューバの美しく懐かしい情景が目に焼きつきます。人々の語らい、そしてダンス・シーンとキューバならではの光景が楽しめました。また、デイブ・グルーシンを髣髴とさせるテーマも含めて、音楽もまた美しい映画でした。

ちなみに海外では、『Waiting List』というタイトルで先日DVD化されています(メイキングと予告編入り)。かつて『苺とチョコレート』も国内版ビデオが出ていますし、大変いい映画だけにぜひとも国内版DVDを望みたいものです。

【バスを待ちながら(Lista de Espera) 2000年 キューバ=スペイン=フランス=メキシコ】
by santapapa | 2004-10-23 23:04 | 世界の映画
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