ストーカー (1979)

ストーカー

『ストーカー』と言っても2002年のロビン・ウィリアムズが出た映画でも、執拗に特定人物につきまとうといった映画でもまったくありません。まだそういった「ストーカー」という言葉が世間で言われていなかった頃=1979年のSF映画。私にとって『ストーカー』と言えば、『惑星ソラリス』のアンドレイ・タルコフスキー監督のこの映画が一番に頭に浮かびます。



隕石が落ちたらしいその場所では奇妙な現象が起き、軍隊を派遣したところ全滅。それ以来立ち入り禁止区域となって封鎖されて、有刺鉄線が張り巡らされて厳重な警備の下、誰も立ち入らないように見張られていました。その場所は、「ゾーン」と呼ばれるようになります。20年後のこと、ストーカー(アレクサンドル・カイダノフスキー)は妻(アリーサ・フレインドリフ)の制止を振り切り、何度目かの「ゾーン」への案内役を買って出ます。「ゾーン」への進入を希望しているのは物理学者の「教授」(ニコライ・グリニコ)と流行小説が売れている「作家」(アナトリー・ソロニーツィン)のふたり。3人は「ゾーン」を警備する警官隊の銃弾を避けながらなんとか「ゾーン」に進入することに成功します。「ゾーン」に隠された秘密、「部屋」、そして3人がそれぞれ胸に秘める思惑が交錯して・・・・・・。

タルコフスキー監督の中でも特に映像美が全編に渡ってすばらしい映画。荘厳な美を感じた映画です。「ゾーン」の外での「色使い」、「ゾーン」のいろんな場面での廃墟のような景色、さまざまに形を変えて現れる水、そして去り行くものは霧の向こうに姿を隠して行きます。廃墟にも似た風景は心を掻き立てる魅力を持っていて、自分もその風景の中に入って抱かれたくなるような闇の引力を持っています。そして生命の源である水のある場面と、水の音。言葉に表せない魅力です。

映像だけの魅力だと単なる凝ったBGVになってしまいますが、シリアスな展開の中での登場人物のからみと会話が魅力です。原作に『収容所惑星』などで知られるアルカージー&ボリス・ストルガツキー兄弟の小説を用いて、映画ならではの映像で独特の世界観を構築しています。私自身は無宗教でかつ宗教に対してあまり好意的でない人間なのですが、芸術分野における宗教の影響とその敬虔なる世界については感じるものが多く、この映画でも人がなにかしら拠り所を求める中での「救い」と「奇跡」を描いた名作だと思います。

わざと「雑音」に混じって聴こえるラベルの「ボレロ」やベートーベンの「歓喜の歌」が印象的な映画でもあります。音楽は『惑星ソラリス』のエドゥアルド・アルテミエフ。

ところで今のDVDジャケットの画像はなんだか映画のイメージとはずいぶんと違う感じが(苦笑)。まだ、CDケース・サイズの頃のジャケットがましだったような。この映画のプロモーション画像でよく犬が映ったシーンが使われていましたが、そのせいでその画像が印象的なんですよね。


【ストーカー(STALKER) 1979年 USSR】
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by santapapa | 2006-08-15 23:44 | 洋画一般
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