第三の男

第三の男

「第三」という言葉は人の興味を喚起するらしく、「第三」、「第三の~」と名づけられたものは数多くあります。映画の題名ではよく知られてるのが、『第三の男』。



第二次世界大戦直後のウィーンは四ヶ国の占領下にあり、独特の雰囲気が漂う場所。そこに現れたのはUSAの自称三文作家ホリィ・マーティンス(ジョゼフ・コットン)。彼は古くからの友人ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)から仕事を紹介してくれるということでウィーンを訪れたのですが、なんとハリーは交通事故で死亡したということで、墓地で葬式が行われていました。その場にいたイギリスのキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)にハリーが闇屋をやっていたと聞かされたホリィ。そしてハリーと懇意であったという女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)に会ったホリィは、ハリーの死の真相を探ろうと調査をはじめます・・・・・・。

モノクロームの映像が強烈に印象的な映画です。カメラマンの展覧会の写真のように、どのシーンを見ても陰影と構図がきれいで視覚的に「目においしい」映像に見えました。空気も含めた雰囲気がフィルムから直に伝わってくるような気がします。またそれだけに、遊園地のシーンや下水道のシーン、そしてラスト・シーンと印象強く刻まれている場面も多いです。

ストーリーはサスペンス・タッチで、過去からも含めた情報量の多い現代においては意外性やハラハラドキドキ感では今更おどろくほどの話でもないのですが、基本がきっちりとしているので話に大きな破綻がなく、また演出もテンポがいいので最後まで惹き込まれて見てしまいます。「恐怖で衝撃で温泉の湯煙がなんちゃら~」というのに比べれば、しっかりサスペンスしてますし(笑)。

しかし一応主役であるはずのホリィ・マーティンスがかわいそうでかわいそうで(苦笑)。あそこまでマヌケな名前だのなんだの言われる筋合いはないと思うんですけどね(苦笑)。

そして、アントン・カラスのチターによるテーマも一聴するとミスマッチのような気がするのですが、見ていくと映画とは切っても切り離せないぐらい印象的に感じるですね。曲名や映画の曲だと知らずにメロディを知っている人も多いかもしれません。そういえば、昔ムーンライダーズが映画をテーマにしたアルバム『カメラ=万年筆 CAMERA EGAL STYLO』でこの『第三の男』のムーンライダーズ風ダブ・バージョンが収められていました。

この映画とアントン・カラスについては軍司貞則のノン・フィクション『滅びのチター師―「第三の男」とアントン・カラス』というのが文春文庫から出ています。当時のヨーロッパの時代背景の中でアントン・カラスがこの映画に採用されて曲が作られらたエピソードや、一躍有名になったアントン・カラスがその後ウィーンの音楽界から黙殺されたことまでが記されていて、大変興味深いノン・フィクションでした。この映画に興味のある方にはぜひともご一読をおすすめします。


『カメラ=万年筆 CAMERA EGAL STYLO』ムーンライダーズ
CAMERA EGAL STYLO

『滅びのチター師―「第三の男」とアントン・カラス』軍司貞則
滅びのチター師―「第三の男」とアントン・カラス


【第三の男(THE THIRD MAN) 1949年 UK】
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by santapapa | 2006-08-12 23:42 | 洋画一般
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