私は「蟻の兵隊」だった

私は「蟻の兵隊」だった―中国に残された日本兵

映画『蟻の兵隊』の上映に先立ち、岩波ジュニア新書から発売された図書です。『私は「蟻の兵隊」だった -中国に残された日本兵-』というタイトルで、名義は元日本兵で体験者である奥村和一と聞き手の酒井誠。最終章の「映画『蟻の兵隊』を巡って」では監督の池谷薫も対談に参加しています。

時系列に添って系統立てて書かれているために非常に読みやすく理解しやすい本。人によって好みはあると思いますが、対談形式であることも読みやすさのひとつかもしれません。私はこの本を読んで映画に興味を持ち、見に行きましたが、本の性格上情報量が多いので読んでおいた方がより深い理解につながると思います。

映画本編では触れられなかったことも多く、特に資料探しに図書館通いをして防衛庁防衛研究所図書館などの資料を調べたところ、後に情報公開法の施行後に資料の一部があたかもなかったように削除されていたというのは興味深い話でした。ちょうど先日文庫化されて読んだ『隠された証言 -日航123便墜落事故-』(藤田日出男・著/新潮文庫)にもまったく同じように情報公開法の施行後に資料が隠されていくことに対する記述があり、故意の隠蔽によって情報公開法の趣旨を亡き物にしようとする姿勢がいたるところにあることを感じます。何のためにそのようなことをするのか、意図はほぼ明確です。その行き着く先に真実を見つけることはとうてい無理でしょう。しかし、そのような社会を作り出している人が確実にいるのです。

なお、以前にも黒木和雄監督の『私の戦争』で述べたように、私は岩波ジュニア新書はいい本が多いと思うのですが、どの新書にも奥付の次の頁にある「岩波ジュニア新書の発足に際して」は、折に触れて読み返す文章です。
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by santapapa | 2006-08-09 23:03 | 映画本
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