The Ringer

The Ringer

『メリーに首ったけ』、『愛しのローズマリー』、『ふたりにクギづけ』で知られるピーター&ボビー・ファレリー兄弟監督のコメディで、昨年末に公開するやUSA本国ではベスト10入りした映画。本国では先月にはDVDも発売されましたが、20世紀フォックス映画のサイトを見る限り、デリケートな問題からか現在のところ日本では公開の予定はないみたいです。



お人よしのスティーヴ・バーカー(ジョニー・ノックスヴィル)は上司から真面目に楽しく会社の清掃をやっているスターヴィ(ルイス・アヴァロス)を首にするように申しつけられます。ところがスターヴィは実は市民権を持っていない上に子だくさんの家庭を抱えていて、この仕事がクビになれば路頭に迷うことは必至。情にほだされたスティーヴはスターヴィを自宅の庭師として雇うことにします。ところが庭の芝刈りの最中にスターヴィは芝刈り機で指を切り落としてしまうはめに。慌てて病院に駆け込んだものの、保険もないスターヴィの手術には2万8千ドルもの費用がいることに愕然とします。スティーヴはワラをもつかむ思いでお金の相談をしようと伯父のゲイリー(ブライアン・コックス)に電話をしますが、伯父にいたっては電話の最中に賭けの借金を催促されているといった始末。その伯父が突然思いついた金儲けの迷案が、スペシャル・オリンピックスで6連覇を果たしているジミー・ワシントン(レオナルド・フラワーズ)が負ける方に賭けること。そしてそのために、高校時代演劇もやり陸上競技で抜群の成績を残したスティーヴを知的障害者ジェフリーという架空の人物になりすまさせて、スペシャル・オリンピックスに出場させるという計画がなされたのでした。そこでジェフリーという人格になりすませたスティーヴはボランティアのリン(キャサリン・ヘーグル)と出会って・・・・・・。

『The Ringer』とは、俗語で「規則に違反して出場する競技者」のことだそうです。輸入DVDの英語字幕、英語音声で見たために細かい箇所などの理解不足があるかもしれませんが、いろんなサイトを参考にした上であらすじはおそらく概ね上記の通りだと思います。言葉が完全に理解できればもっと面白かったとは思うのですが、意訳でも結構面白く、また芽生えた友情や、強い罪悪感をもちながら行動する主人公の思いに感情移入できる映画でした。コメディの王道が判っている監督だけあって、見ている時のちょっぴり切ない部分や、見終わった後の清々しさをうまく演出しています。劇中では伯父の指導で『フォレスト・ガンプ』や『レインマン』等を見て、知的障害者の真似を習得する場面も。あと、ちょっとしか出てきませんが、教会の牧師がとても印象的でした(爆笑)。音楽の使い方も、なつかしい曲を効果的に使っていてうれしくなります。

この映画のひとつのテーマは「相違がある」人間を特別扱いせずに悪いものは悪いし、いいものはいいと率直に描いていることです。なんだか「相違がある」ものに対して腫れ物の触るようにして、時には「神聖化」したり、時にはうまく話を持っていきながら「排除」したりして、「無難」に過ごしてしまいがちな部分があることは自分自身の経験から言ってもあったりするのですが、正直な話、それでは自分が結果的に傷かないために距離を置くだけのことで、理解にはつながっていかないのですよね。なかなか頭では判っていてもいざ直面するといろんな思惑があって素直に動けないのが現実だったりすることもあるのですが、人間同士の付き合いですから敬遠や色眼鏡で見ないで自然であることが大事なのだということを改めて認識します。

この映画が向こうのスペシャル・オリンピックスの側からどのように見られているかは、SOI(スペシャル・オリンピックス国際本部)のサイト大きく扱われていることを見れば、充分判る気がします。出演者の中にも知的障害者の方がかなり参加しているとか。日本では『ふたりにクギづけ』も限定公開でしたが、この映画も内容を見る限り日本という国での配給担当の方が、いろんな意味で二の足を踏んでいることは想像に難くないです。このDVD、あちらではPG-13扱いになっています。もちろん、性的に際どい描写や過度に暴力的な描写は一切ありません。それ以外の「おとな」の理性を持って見るべき映画と判断されてるからなのでしょう。悲しいかな、「おとなのいない場所」では上映は難しい映画なのは仕方ないのでしょうか。

『The Ringer』公式サイト(英語)


【The Ringer 2005年 USA】
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by santapapa | 2006-06-26 21:26 | 洋画一般
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