プラハ!

プラハ!プラハ!

ハリウッドでは思春期のエネルギーを持て余した少年少女が「大人」になっていく青春映画の系譜(例えば『リトル・ダーリング』など)が地味ながら脈々と続いていますが、チェコ映画であるこの『プラハ!』はそういった青春映画であり、ミュージカルであり、1960年代のポップでキッチュなファッションが楽しめる映画であり、そして・・・・・・。



チェコスロバキア、1968年の夏。第二次世界大戦直後から社会主義体制になったこの国の国民は、アレクサンデル・ドゥプチェクによる「人間の顔をした社会主義」の改革運動、俗に言う「プラハの春」による自由のすきま風を楽しんでいました。チェコのプラハの近くのドイツ国境にある高校では、3人の女子高校生テレザ(ズザナ・ノリソヴァー)、ブギナ(アルジュヴェタ・スタンコヴァー)、ユルチャ(アンナ・ヴェセラー)は間もなく卒業試験。お年頃にふさわしく、燃えるような恋と「大人への卒業」を語り合っては盛り上がる友人同士でした。クラスの男たちもしきりにモーションをかけてきますが、いささか役不足の様子。一方、チェコスロバキアのワルシャワ条約軍に兵役として服していたシモン(ヤン・レーヴァイ)、ボブ(ヤロミール・ノセク)、エマン(ルボシュ・コステルニー)の3人は、USAへの亡命をするために、夜中に軍を脱走して列車に乗り込みます。偶然出会った3人と3人は遊園地でのデートを約束。青春を満喫する男女6人は、それぞれに恋に落ちます・・・・・・。

歳をとると「若いってよかね~、夏ってよかね~」と目を細めながら思ってしまいますが(苦笑)、人間、思春期と呼ばれる時期は人生経験が少ないこともあって、生物学的な衝動と人間的理性の狭間で大きく悩みますよね(遠い目)。それが、年寄りには恥ずかしくもあり、なつかしくもあり、輝かしくもあり、うらやましくもあるそんな時期です。この映画での主要人物が、恋とそれ以外のこととの兼ね合いに悩んだりするところは共感もし、思い入れもする部分です。また主人公の父親がいい味をだしていました。湖畔でこっそりと短波でVOA(Voice of America)なんかを聴くシーンがまたいいですね。そういえば卒業試験にカレル・チャペックの「R.U.R」が出てくるあたりはお国柄です。

時は1960年代末のポップ・カルチャー花盛りな頃。原色でキメるファッションやポップでキッチュなスタジオ・セットが楽しいです。ミュージカル仕立てなところは、インド映画と共通するにおいのエンターテインメントを感じますね。あちらは舞台と人数が豪華ですけど(笑)。また、冒頭のトロンボーンの視覚的な使い方に感心しました。あれはかっこいい。

そしてラスト近く、所謂「チェコ事件」についてあのような映像でこられた時には、正直インパクトに唸らされました。書籍の中でしか知らない遠い国の遠い昔の不幸な事件は字面では知っていましたが(知っていたつもりでしたが)、ああいう形での映像でだと強烈に網膜を通して心に深く刻み込まれました。この映画も今でこそ作ることのできる映画で、そういう映画が作られたことに安堵を覚えますし、これからもそういう時代と感覚を持って生きていたいものです。このような、楽しく甘酸っぱく、そして深い映画を見ることができる喜びに感謝します。


『プラハ!』公式サイト


[プラハ!(REBELOVE) 2001年 チェコ】
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by santapapa | 2006-05-31 00:08 | 洋画一般
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