玲玲の電影日記

玲玲の電影日記

映画館で予告編を見た時から、ピンと来ていたのがこの映画=『玲玲(リンリン)の電影日記』です。想像できるとおり、ほぼ直球勝負の映画でしたが、この手の映画にはやはり弱いのです。



北京で自転車で水の配達をしながらお金を貯めて、映画を見に行くのを大きな楽しみにしている青年マオ・ダービン(夏雨/シア・ユイ)。ある日映画に行く途中、入った路地のレンガに足をとられて自転車ごと転びます。ところが、そこにいた若い娘(齋中[日易])にいきなりレンガで頭を殴りつけられることに。その場で気絶したダービンは病院で目覚めますが、頭からは大きな傷から血が出ていて、借り物の自転車は大破だという始末。警察で尋問にあっているという口を利かない若い娘に理由を問い正しに行ったダービンは、逆にその女性に金魚の世話をしてほしいと部屋の鍵を手渡されます。狐に包まれたような面持ちで彼女の部屋に金魚の餌をやりに行くダービン。その娘の部屋に一歩入ると、壁一面に映画のポスターやスターのピンナップが貼られ、映写機とビデオ・プロジェクターにスクリーンといったミニ・シアターが。そして、ふと手にとった一冊のノートを読み始めたダービンは食い入るようにその文字を追っていきます。その女性=リンリンが母(姜易宏/チアン・イーホン)の時代のことから綴ったその日記に書き残されていたのは・・・・・・。

家族愛、絆、そして、映画に対する愛情が詰まった映画でした。歳をとって涙もろくもなっているのでこの手の映画は「ダメ」=「泣けてしまう」のは判ってはいたのですが、じんとくる映画でした。変に押しつけを感じずに素直な描写がたまりません。母とリンリンが病院の干したシーツの間をルンバを踊っている場面なんか、なんでもない場面なのにいいんですねえ。話の半分以上を占める子役の演技もすばらしいです。リンリンの場面場面によって変わる表情、シャオピンのいかにも足りなそうな悪ガキそのものの表情(爆笑)。ぐいぐいと引き込まれていきます。残念ながら映画の中で上映される作品ついてはひとつも知っているものはなく、その点については思い入れはしようにもできませんでしたが、それはなくても映画に対する素晴らしいという評価は変わりません。そういえば「中国版ニュー・シネマ・パラダイス」という謳い文句がチラシにあってまさにそうなんですが、『西洋鏡 映画の夜明け』も同じようなコピーだったような。

リンリンが生まれる直前の1971年、中華人民共和国ではまだ文化大革命と呼ばれる運動に疑問がなく推進されている真っ最中で、その翌年にはニクソン大統領の「頭越し外交」、そしてそれに追従する形で「日中国交正常化」が行われた時代の話から始まります。逆に言えばその呪縛から解き放たれたからこそ、今こういう映画も作られるようになってきたのでしょう。

『アメリ』などのアルバトルスの配給ですけど、いい仕事していますね。予告編はこちら。これを見て、ピンときたらぜひ見に行かれてください。


『玲玲の電影日記』公式サイト


【玲玲の電影日記(夢影童年/ELECTRIC SHADOWS) 2004年 中国】
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by santapapa | 2006-05-30 00:14 | 香港(中国・台湾)映画
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