千夜一夜物語

千夜一夜物語

俗に言う『アラビアン・ナイト』=『千夜一夜物語』をベースに作られた手塚治虫&虫プロダクションによる「アニメラマ」第一弾。「アニメラマ」というのはアニメーション+ドラマの造語だそうで、大人のためのアニメーションとして当時としてはエロティックさも大きく取り入れたことでも話題を呼び、ヒットしたそうです。



むかしむかし、バクダッドの貧乏な水売り商人アルディン(青島幸男)は奴隷市で売られている女奴隷ミリアム(岸田今日子)を見て一目で恋に落ちます。偶然起こった突風に乗じてミリアムをさらって逃げるアルディン。ふたりは結ばれますが、王の座を狙う捕吏のバドリー(芥川比呂志)は二人を捕え、アルディンは監獄に、ミリアムは奴隷市場で競り落とした警視総監の息子へ預けられます。アルディンはなんとか監獄から抜け出そうとしますが・・・・・・。

『ジャングル大帝』『展覧会の絵』から3年、前を見据えていたであろう手塚治虫が作った野心作のひとつではないでしょうか。独特のクセがあってちょっと普通の「アニメ」とは違うのですが、まさに手塚治虫でないと作れない世界の映画に仕上がっていますが、一部に古さを感じる部分はあるものの、今見ても斬新に思える表現やオシャレな表現が実に随所に多く見られます。私には波長があう傾向のアニメーションです。もちろん、手塚治虫っぽさもたっぷり。エロティックさは今の時代の基準からすると全然たいしたことはなく、当時は無理やり入れている部分もありそうなところもありそうでしたけど。

美術監督としてキャラクター・デザインをしたのは、今では『それいけ!アンパンマン』の作者として有名なやなせたかし。また女護ヶ島のイメージを杉井ギサブローが担当したり、女王が大蛇に変身する場面を手塚治虫自身が原画を担当したりもしているそうです。

音楽はこの頃の手塚作品には欠かせない日本の誇る才能、冨田勲。他の冨田作品には見られないびっくりするぐらいファンキーなナンバーもあったりして新鮮です。しかも歌っているのはチャーリー・コーセー。また『千夜一夜物語』だけあって、リムスキー=コルサコフの『シェエラザード』のメロディを冨田勲アレンジで聴けるというのは至福ですなあ。

声優には主人公に青島幸男、ヒロインに岸田今日子、その他芥川比呂志や小池朝雄、橋爪功などが参加していますし、チョイ役で遠藤周作、吉行淳之介、北杜夫、筒井康隆、小松左京、大宅壮一、前田武彦、大橋巨泉、野末陳平、立川談志、大森実、等々々が声優で参加しているということだそうですね(笑)。お話もスタッフもキャストも実にてんこ盛りな作品でした。

「WEBアニメスタイル」「「アニメラマ三部作」を研究しよう!山本暎一インタビュー」という記事が非常に興味深いインタビューになっていますので、ぜひご覧ください。


【千夜一夜物語 1969年 日本】
[PR]
by santapapa | 2006-05-26 23:58 | 邦画
<< グッドナイト&グッドラック ガメラ対深海怪獣ジグラ >>