アデルの恋の物語

L'HISTOIRE D'ADELE H.

ビクトル・ユーゴーの次女アデル・ユーゴーを題材にした『アデル・ユーゴーの日記』を、フランソワ・トリュフォーが映画化した作品で、主演はイザベル・アジャーニ。



1863年、フランスではナポレオン三世が勢力を持ちはじめて、イギリスはカナダに派兵し、「新大陸」のUSAでは南北戦争が勃発します。その頃、英領ガーンジー島の親のもとを出てカナダの港町アリファックスに着いた文豪ビクトル・ユーゴーの娘アデル(イザベル・アジャーニ)は下宿先のサンダース家に身を寄せます。アデルには思い焦がれる初恋の人、アルバート・ピンンン(ブルース・ロビンソン)がいて、イギリスの騎兵中尉としてカナダに赴任したのを知ってその後を追いかけたのでした。数日後にサンダース家の人がイギリス軍の歓迎パーティへ出席することを知ったアデルは、ピンソンへの手紙を託しますが無視されてしまいます。しかし数日後、ビンソンがサンダース家を訪ねてきたことで、心逸るアデルはめかしこんでピンソンに愛を語りますが、彼の心はアデルにはありません。ピンソンへの気持ちが抑えられないアデルは、次第に自ら精神的に追い詰められていきます・・・・・・。

この映画はまずイザベル・アジャーニの名演技に尽きます。片思いに身を焦がすあまりに次第に狂気に走っていく人の姿を描いているのですが、人形のように美しいアデルが情念に取り憑かれたようになっていく様を見事に演じています。人は自らどうしてもほしいものを手に入れたいことがあるのですが、相手がどうであろうと周りがどういう状況であろうと、自らの欲求を満足させずにはいられないというのはどこかに存在するようです。最後には自らの愛に対しての愛になっていく様は、人間というものの業の深さを感じざるを得ません。

また時代背景をうまく織り込み、随所に見られる美しい映像も見事です。ペンとインクで紙に手紙をしたためる場面も実に効果的ですね。文芸的な風格を感じる映画でもありました。

ちなみにアデルの名前は母アデル・ユーゴー(旧姓フーシェ)と同じ名前。ビクトル・ユーゴーとその兄はアデル・フーシェに同時に恋をして、恋に破れた兄は自殺したという逸話もあるそうです。


【アデルの恋の物語(L'HISTOIRE D'ADELE H.) 1975年 フランス】
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by santapapa | 2006-05-07 23:58 | 洋画一般
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