この映画は、浅田次郎の単行本『鉄道員(ぽっぽや)』に納められている短編『ラブ・レター』が原作です。舞台を韓国に移して出稼ぎの女性は中国人になっていますが、人の切ない情感をひしひしと感じる映画です。
中年にもなってうだつのあがらないチンピラをやっているカンジェの元に、ある日妻の死の知らせが入ってきます。身に覚えがないカンジェは、数年前小金欲しさに中国から来た女性と偽装結婚をしたことを思い出します。他に身寄りのないその女性の遺体を引取ることになったカンジェは妻である白蘭(パイラン)の住んでいた町を訪ね、そこで白蘭の生前の暮らしぶりを知ります。そして白蘭の部屋でカンジェは自分に宛てた手紙を見つけて読みます。
カンジェ役の崔岷植(チェ・ミンシク)のうだつのあがらないチンピラぶり、そして白蘭のことを知るうちに少しずつ変わっていく様が見事です。また、白蘭役は香港から来た張柏芝(セシリア・チャン)が演じていますが、こういうけなげな演技をさせたら本当に世界一(俺的基準)ですね。
白蘭役は、最初は張曼玉(マギー・チャン)にオファーが来ていたんだそうですが、どうしてもスケジュールの折り合いがつかず、
『星願』を見たソン・ヘソン監督がセシリア・チャンを抜擢したということ。
最後のビデオの中でセシリア・チャンが無伴奏で歌う『愛情』がとても好きです。うちには莫文蔚(カレン・モク)が歌う『愛情』があるので、それを繰り返し聴いています。
ところでセシリア・チャンってしゃべるとハスキー(笑)なのに、歌うとどうして普通なんでしょう?
【パイラン(Failan/白蘭) 2001年 韓国】