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007/黄金銃を持つ男

007 黄金銃を持つ男

『007』シリーズの第9作目。三代目ジェームズ・ボンド役をロジャー・ムーアが担当してからの2作目になります。敵役はイギリスを代表する名優クリストファー・リー。最近では『カンフー・ハッスル』の大家のおばさん役を皮切りに『カンフーマージャン(雀聖) 』『雀聖2 自摸天后』『野蠻秘笈』などにも出ている元秋(ユン・チウ)が、実は出演してたということでも知られています。ボンドガールではありませんが(笑)。それと麥嘉(カール・マッカ)が助監督を務めていました。

しかしこの映画、なかなか微妙な作品で、トホホかというとトホホにもなりきれていない、『007は二度死ぬ』 、『007/カジノ・ロワイヤル』などと並ぶ怪作なのではないでしょうか(苦笑)。



100万ドルの報酬で殺しを請け負う男、フランシスコ・スカラマンガ(クリストファー・リー)は中国領のある小島に基地を構え、優雅な暮らしをしています。スカラマンガのお気に入りの武器は、一見ライターやペンに見える部品を組み立てた4.2口径の黄金銃。そしてイギリス諜報部の007ことジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)の元に暗殺予告の黄金の弾丸が送られてきます。ボンドはスカラマンガとの対決の手がかりを得るために、ベイルート、そして香港へと飛びます・・・・・・。

銀の弾丸はだめでも金の弾丸はいいらしいクリストファー・リーが敵だけに、期待できそうに思えるこの作品ですが、冒頭からズドンッとやってくれます。まず海岸で水着で立つクリストファー・リーの胸がアップになると、なんと胸の斜め真ん中寄り近くにも第3の乳首が(大爆笑)。あの名優クリストファー・リーの真面目な顔と、その付属物のギャップにいきなり黄金銃で撃ち抜かれたような衝撃を感じました(笑)。

その後、イギリス諜報部のMの部屋で「スカラマンガを知っとるか」と訊かれた博識なボンドの口からは、以下のセリフがスラスラと空で出てきます。

 「黄金銃の男ですね。父は団長、母は蛇使いのサーカスに生まれ、10歳で曲撃ちの極意を体得、15歳で射撃の名手。ソビエトKGBにスカウトされ、薄利多売の殺し屋に変貌。50年代後半に独立。殺しの報酬は1人100万ドル。写真は一枚もなく肉体上の特徴が顕著です。乳頭です。第3の乳首があります。黄金銃には黄金の弾丸を使用。現住所は不明。以上です」

そんなに有名なのか?第3の乳首(苦笑)。

それだけではありません。ボンドはスカラマンガの居所を探るためにモード・アダムス扮するアンドレアの泊るホテルの部屋に侵入、隙をついて締め上げるとスカラマンガの居所を訊き出します。

 「彼はどこにいる?」
 「知らない。本当よ。でも今夜、クラブ『ボトム・アップ』へ行く」
 「(彼の)目立つ特徴は?」
 「あるわ。普通の人と違って・・・3つも・・・」

いや、だからいいかげんそこから離れてください(苦笑)。そもそもそんな特徴、服着てたらわからないってば(笑)。

で、映画の前半で散々引っ張ってきたこの第3の乳首。物語の中でどう関ってくるのかというと、ボンドがスカラマンガに殺しを依頼した大富豪ハイ・ファットの屋敷に侵入した時。ハイ・ファットがプールサイドに立つ不審者に、「何をしとる?」と怖い顔でボンドに近づきます。それを見ながら黙って上半身のシャツを脱いで、半裸で声の方を向くボンド。その胸の斜め真ん中寄りあたりには、なんと第3の付け乳首が(大々々爆笑)。スカラマンガと思いこんだ男は「失礼した」と言って引き下がります(笑)。そしてこれを境にして、この後一切第3の乳首ネタは出てきません(苦笑)。こ・・・・・・、このためだけのネタ振りだったとは(大汗)。

ちなみにこの大富豪ハイ・ファットの屋敷の庭には怪しいオブジェがたくさんあり、スモウ・レスラーの像とかもあったりするのですが、夜、ボンドが庭を探索していると、なんとそれが本物のスモウ・レスラーに(爆笑)。四股を踏みながらボンドに襲いかかります。ジェームズ・ボンドが東洋に来ると言うから、すごく悪い予感はしていたのですけど(苦笑)。

この頃は『燃えよドラゴン』の大ヒットもあって、世界的にカンフー・ブームだった訳ですが、もちろん期を見るに敏な007もしっかり取り入れてます。スモウ・レスラーと戦った際に後ろから殴られて気絶したジェームズ・ボンドは、ハイ・ファットの屋敷内の謎の道場で謎の門下生相手に戦うことに。隙を見て逃げ出したボンドとそれを追う大勢の門下生たち。そこの現れた2人の女子高生がバッタバッタと門下生たちを投げ倒しますが、そのうちの一人が30年前の若き元秋(ユン・チウ)です。

ちなみにボンドガールのひとり、メアリー・グッドナイトを演じるのはブリット・エクランド。Mに「ボンドひとりじゃ当てにならん」と言われてつけられたサポートの割には、見事なまでに「足ひっぱり系」のドジッ娘(苦笑)。ビキニ姿もふんだんで、かわいいから許しますけど(笑)。このかわいい系のボンドガールとスカラマンガの背が小さい従者のニックナックが、多分後の『オースティン・パワーズ デラックス』の元ネタになっているのでしょうね。

ところでクリストファー・リー演じるスカラマンガは、ジェームズ・ボンドと歴史に残る名勝負をしたいがためにすぐには抹殺をせず、決闘をしますが、その最後の舞台が秘密基地内に作ったまるで遊園地みたいな部屋(笑)。鏡の部屋やウエスタン射的の部屋みたいなところで戦うのですが、これが歴史に残る名勝負とはとてもとても(苦笑)。何百年も棺桶の中で眠っている人の美学はちょっと違うのかもしれません(笑)。

ラストがなんだかしょぼかったりか、車が川を一回転ジャンプする時にまぬけなスライドホイッスルの効果音だとか、ボートのエンジンを治してくれたのに大人ってズルいと思いますな場面とか、007の映画でベッドでの三角コメディやられてもなあとか、まだまだ語ればいろいろありますが、この『007/3つの乳首を持つ男』、もとい、『007/黄金銃を持つ男』の魅力の一端についてお判りいただけたでしょうか。


【007/黄金銃を持つ男(THE MAN WITH THE GOLDEN GUN) 1974年 UK】
by santapapa | 2006-04-25 20:08 | 洋画一般
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