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シャー・ルク・カーンのDDLJ/ラブゲット大作戦

DDLJ

なんだかタイトルだけ見ると、キダタロー大先生のテーマ曲に乗せて横山やすし・西川きよし&桂きん枝が出てきそうです(笑)。『恋するブラジャー大作戦(仮)』に比べればマシというか、どっこいどっこいと言うか(笑)。初公開時のタイトルが『花嫁は僕の胸に』、原題が『Dilwale Dulhania Le Jayenge(勇者が花嫁を連れていく)』というこの映画、興行収入150億円、観客動員数1億人以上、4年以上に渡るロングランを達成した超大ヒット映画だそうで、それこそ「全印が泣いて笑った」映画に入る作品になるのでしょう。またそれだけの内容のある映画ですぞ。



イギリスはロンドンに住んでいる、恋に恋する年頃の娘シムラン(カージョル)は、インド伝統を重んじる厳格な父チョウドリー(アムリーシュ・プリ)の下、妹を含んだ一家4人で暮らしていました。ある日、インドから父親の元に手紙が来ます。それは娘のシムランを親友の息子に嫁がせるという約束を20年前からしていたことで、近々結婚式を行おうという内容でした。大喜びする父とまだ見ぬ許婚に不安を持つシムラン。彼女は女友達との一ヶ月のヨーロッパ旅行を、最初で最後のわがままとして父親に懇願します。一方、同じロンドンに住むラージュ(シャー・ルク・カーン)は口の達者なお調子者で大学を留年しながらもヨーロッパ旅行に出発。偶然出会った2人は最初はなにかと反発しあいますが、次第に惹かれていきます。旅行から帰った2人は駅で別れ、自宅に帰ったシムランは自分の思いの丈をこっそりと母親(ファリーダ・ジャラール)に打ち明けます。ところがそれを耳にした父親は激怒。結婚式を強行しようと、すぐさま一家でインドに帰ります。シムランのことが忘れられないラージュは彼女を家を訪ねますが、既にインドに引き揚げた後で家はもぬけの空。ラージュはシムランを娶るためにインドに飛ぶことにします・・・・・・。

コメディの場面も多い映画ですが、歳とって涙もろくなったせいか所々でホロリと泣けました。ストーリーとしては立ちはだかる障壁を乗り越えていく略奪愛ものなのですが、『卒業』みたいに実力行使で奪ってしまえばいいものを、シャー・ルク・カーン扮するラージュはあくまでも相手の父親の承諾を得るということを前提にあの手この手で策を弄します。正攻法で行こうとする割には結構インチキをやったりするのですが(苦笑)、そこはシャー・ルク・カーンのキャラクターとシムランを愛する熱意で許しちゃいますね。一見、口先のうまい、いいいかげんなお調子者に見えて、誠意とやさしい気持ちをもった好青年であるのがポイントが高いところでしょう。キリスト教の教会で、祈り方は知らないのにシムランの願いをかなえてくれるように神様に頼む場面などは、思わず微笑んでしまいますなあ。

そして最大の障壁であるアムリーシュ・プリ演じるシムランの父親、これがもうガチガチに厳格な上に見た目にむちゃくちゃ怖い!!(爆笑)顔も怖ければ目がすごく怖いです。道で会って睨まれたらリアルで泣いちゃいそうです。普段は睨みを効かせた仏頂面ですが、ハトにえさをやるのが趣味だったり、長年連れ添った妻に愛を歌うと言った一面がまたいい味をだしています。この最大の障壁が途方も無く高いために、話は否が応でも盛り上がります。

シムランを演じるカージョルの健康的なセクシーさは言わずもがな。バスタオル一枚で踊ったり、雨の中踊ったりしています。アルプスの山小屋で寒さをしのぐためにコニャックを飲んで、1日中酔っ払って踊るシーンには爆笑。またインド特有の衣装、特に結婚式のあたりなどは非常にあでやかです。

それに加えて周りの脇役のキャラクターがまたとてもいい映画です。娘シムランのよき相談役で愛する夫との狭間で悩む母親は、娘の幸せを願ってやまない様子が心にきます。シムランの妹がいい雰囲気を持っていて、またちょっとかわいい感じです。そしてラージュの父親は、父親でありながらかなりさばけていて、息子とはほとんど友達のような付き合い。それでいて、いざとなれば息子のために一肌脱ぎ、息子を誇りに思う芯の強いおとっつぁんです。こういうべたつかない間柄でありながら暖かい家族愛と絆を感じられるところが、この映画に惹きつけられるひとつの理由に違いありません。

もちろんインド映画ではおなじみのミュージカル・シーンも盛りだくさん。印象的で頭に残るきれいなメロディを書いたのは、『ラジュー出世する』の音楽担当もやっているジャティン・ラリトです。ラージュがつま弾くメロディが、映画の中で重要なモチーフとして使われているところもいいですね。

ちなみに日本での劇場公開が失敗に終わった(タイトルのせいもあるような(苦笑))からか、日本語版DVDが出ていないのが残念です。国家的損失かもしれません(笑)。USA版の日本語字幕で見ましたが、これが機械翻訳そのままで、本編とは関係なく笑ったり首をひねりたくなるものです(苦笑)。日本語監修が出来る人がいない環境で作られたようで、機械翻訳調の文章はまだしも、へんてこりんな訳や、文字化けまであったり、時々なぜかタイム・コードが出てきたり(苦笑)。映画自体はイチオシなんですが、ぜひとも日本語版DVDを出してちゃんとした日本語で見られる環境がほしいものです。


【シャー・ルク・カーンのDDLJ/ラブゲット大作戦(Dilwale Dulhania Le Jayenge (DDLJ)) 1995年 インド】
by santapapa | 2006-04-24 22:54 | インド映画
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