アメリカン・ヒストリーX

アメリカン・ヒストリーX

人が歴史を学ぶのは、
   年号を暗記するためなのではありません。



カリフォルニアに住む高校生のダニー(エドワード・ファーロング)はヒトラーの「我が闘争」を題材にしたレポートを提出しますが、人権運動に深く関わるスウィーニー校長(エイヴリー・ブルックス)からその代わりに兄弟をテーマに作文を書けと命じられます。ダニーが尊敬する兄デレク(エドワード・ノートン)はその日、3年の服役を終えて刑務所から出てきました。消防士をしていた父親を黒人に殺されたデレクは、母ドリス(ビヴァリー・ダンジェロ)らの反対も無視して白人至上主義者によるネオナチ組織のメンバーになり、仲間のカリスマ的な存在だったのですが、夜自宅の近くに乱暴に入った黒人2人を惨殺したことで逮捕されたのでした。ところが出所してきたデレクは驚くほど考え方が変化して、兄に憧れてネオナチ組織の仲間たちと行動を共にしていたダニーは大きくとまどいます・・・・・・。

見ているとちょっとつらいぐらいに暴力を全面に押し出したシーンがある映画でしたが、それは多分に意図してのものなのでしょう。暴力、そして差別についてストレートに押し出したずっしりと重い作品です。強固な仲間意識と排他的な思想、怒りの持続と誤った結論付けから暴力へ進むことが何を生み出していくかを描きたかったのではないでしょうか。「暴力はいけない」、「差別はいけない」。口で言うことも字で書くことも簡単です。しかしそれらが生み出されていく背景があるからこそ、100万遍教条を唱えても愚行は繰り返されていくのではないかと思います。一朝一夕に解決するものではないのですが、だからといって放置されるべき問題でもない。だからこそ、少しずつでも問題提起と考えていくこと、話し合っていくことが必要なことなのでしょう。道は長く遠くとも。

父の影響下にあった兄、食事時の会話、母の制止を効かない息子、兄を身近に見てあこがれるティーン・エイジの弟、そして弟を自分が見えるようになってきた風景に引き上げようとする兄、その情の絡まり具合がゆっくりと沁みてきました。


【アメリカン・ヒストリーX(AMERICAN HISTORY X) 1998年 USA】
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by santapapa | 2006-04-14 23:54 | 洋画一般
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