東京キッド

東京キッド
あなたのポケットの中には、いったい何が入っていますか?よかったらこっそりと見せてくださいね。



終戦直後、戦災からの復興の最中のまだ貧しい東京。路面電車や、輪タクという人力タクシーが道を通る東京。病気の母と二人で暮していた12歳のマリ子(美空ひばり)のもとに、10年前に家を去った谷本(花菱アチャコ)という男が現れます。谷本は実業家として成功をおさめたので、もう一度3人で暮そうと母子を訪ねて来たのでした。ところがマリ子の母はその申し出を断ります。そして間もなく息を引きとった母の言いつけを守って、マリ子は姿をくらませます。谷本は新聞広告で50万円(当時)の懸賞金をつけ、探偵を雇ってマリ子を探します。事情を聞いたホステスのトミ子(高杉妙子)は、谷本の目から隠すためにマリ子を男の子に変装させて自分の子供ということに。ところがそんな時、トミ子は流しのサンちゃん(川田晴久)と似顔絵描きのシンちゃん(堺駿二)の二人からプロポーズされて・・・・・・。

ストーリーは単純、ノリはもろに今の新喜劇の舞台のような映画です。さすがに1950年の映画ですから時代を感じる部分も随所に見えますし、またモノクロームの画像のフィルム自体かなり痛んでいますが、予定調和の軽い気持ちで見ることの出来る映画です。終戦また5年、テレビ放送が始まるまでまだ3年の年月が必要であったこの頃、人々が映画に夢と希望を託して見に行ったであろうことは想像に難くありません。

主人公は天才少女の名をほしいままにした美空ひばり。この映画での子役の姿を見ても、演技、歌、踊り、とても子供の業ではありません。おしゃまさんという領域をまったく超えています。目をつぶって歌やセリフを聴けば、大人とも紛うばかりのものがあります。特に歌は今の耳からすると好みはあるかもしれませんが、どう聴いても絶品であることは間違いありません。正に何十年に一人の天才であることを改めて認識しました。テーマ曲である「東京キッド」も何度か劇中で歌われますが、この映画の画面を見ながらだとなお一層心がほぐれていくような曲です。

賛助出演でエノケンこと榎本健一が、食い倒れ人形の親戚みたいな恰好(笑)で、音楽が聴こえてくれば勝手に動きだすという風大左ェ門のご先祖様みたいな性癖で話に絡んできますが、もうこれが実にいい味を出しています。しかし、「お腹をこわしても大丈夫な胃酸付のアイス・キャンディー」って(笑)。


「右のポッケにゃ 夢がある 左のポッケにゃ チューインガム」(東京キッド)



【東京キッド 1950年 日本】
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by santapapa | 2006-04-06 01:00 | 邦画
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