三匹の侍

三匹の侍

『三匹のこぶた』でも『七人の侍』でもありません。『三匹の侍』は1963年から5年半テレビで放送された人気時代劇で、1970年にも『新・三匹の侍』として半年間放送されました。この映画はそのテレビ番組の劇場版で、丹波哲郎、平幹二朗、長門勇の3人がスクリーン狭しと大活躍。1964年の映画なのでモノクロームですが、時代劇、チャンバラ好きには必見とでも言いたい、とても嬉しい痛快娯楽映画です。



旅する素浪人・柴左近(丹波哲郎)はふと立ち寄った水車小屋で、甚兵衛(藤原釜足)ら百姓3人が娘を拉致しているところに出くわせます。聞けば凶作の上に重い年貢に苦しむあまり、代官の松下宇左衛門(石黒達也)の娘・亜矢(桑野みゆき)をさらい人質にしようとしているのでした。傍観を決め込んで水車小屋に泊まる左近ですが、亜矢を取り戻しに来た役人を見て持ち前の義侠心が頭をもたげ、役人たちを蹴散らしてしまいます。代官の松下宇左衛門は娘の心配と江戸から戻る領主に百姓が直訴するのを恐れて、浪人たちをかき集めて百姓を斬り捨てようとします。その中にいたのが、食客として松下の相談相手になっているニヒルで女好きの桔梗鋭之助(平幹二朗)と、たまたま村に立ち寄った芋侍と呼ばれる槍の名手・桜京十郎(長門勇)。さっそく一行は水車小屋に押しかけますが、情にもろい京十郎は左近の話を聞くとさっさと百姓たちの味方に。業を煮やした代官は百姓の一人・五作(今橋恒)の娘・おやす(香山美子)を捕らえると人質として水車小屋の前に引き立てます・・・・・・。

テレビ番組で活躍する柴左近、桔梗鋭之助、桜京十郎の三匹の侍が、どういう経緯で出会ったかを描くエピソードです。なので、テレビ番組自体を知らなくても話は問題なく判ります。劇中でも素浪人を野良犬と呼んでいることから三匹の侍となったのでしょう。この三匹のキャラクター分けが実によくて、人気を博したのも判ります。

まずは主役の一番手はなんと言っても丹波哲郎。テレビ番組では後にメンバー・チェンジで加藤剛演じる橘一之進になったのですが、剣道有段者だけあって殺陣もいいし華があります。若き時代劇の丹波哲郎が充分堪能できます。かっこよさにシビれますなぁ。

主役のニ番手はニヒルで女好きな役どころの平幹二朗。クールな男が実に似合ってます。あれは女にモテますわ(笑)。

そして三番手の長門勇。情に槍さして流されてばかりですが(笑)、百姓出身の芋侍という役柄で表情も風貌もその岡山弁も実に味がある!!そしてひとたび戦いとなればダイナミックな槍遣い。私が『三匹の侍』でも一番好きだったのが長門勇の桜京十郎でした。その昔、「おえりゃあせんのう」という口癖も流行りましたね。

この3人に加えて周りの俳優陣の真剣な熱演。特に亜矢を演じた桑野みゆきや、おいねを演じた木村俊恵、おやすの香山美子といった女優の演技は出番が大変少ないながらもなかなかのものです。そして、殺陣、照明、カメラワーク、演出、効果音が、今見てもどれも実に効果的でいいんですわ。これでまた脚本が、3人の出会いにそれぞれのロマンス、そして彼らの努力はいったい何だったのだろうかと問いかけるものなど、面白さをわずか90分余の中に凝縮しています。かんざしの使い方も最初から最後まで実によかったですねえ。自分の中では時代劇映画の傑作のひとつです。

監督はテレビでも『三匹の侍』を監督した五社英雄で、これが映画初監督作品。その後、『鬼龍院花子の生涯』、『極道の妻たち』、『吉原炎上』等を撮っています。音楽は津島利章で、これも映画音楽初作品。そもそも劇音楽自体テレビの『三匹の侍』が初めてだったそうです。その後、数多くの映画音楽などを手がけているのはご存知の通り。『ガンマー第3号 宇宙大作戦』、『仁義なき戦い』、『惑星大戦争』、『地震列島』などの音楽も手がけ、テレビでは『鬼平犯科帳』などで有名です。ここでは現代音楽、近代音楽で培った手法で画面を盛り立てています。


【三匹の侍 1964年 日本】
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by santapapa | 2006-04-03 03:40 | 邦画
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