マイ・フェア・レディ

マイ・フェア・レディ

この映画、間違いなくオードリー・ヘップバーンの魅力たっぷりの映画といえるでしょう。



ロンドンの下町コックニーで花を売るイライザ・ドゥーリトル(オードリー・ヘップバーン)はある夜、言語学者のヘンリー・ヒギンス博士(レックス・ハリソン)と出会います。その時に言葉の訛りをなくせば別の人生が開けると聞いたイライザは、意を決してメイフェアのヒギンス博士の家を訪ねます。訪ねてきたイライザに興味を持ったヒギンス博士とピカリング大佐(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)は、半年でイライザの訛りを矯正して洗練されたレディとして社交界にデビューさせることをできるかどうかということで賭けをします。その日からイライザはヒギンス博士の家に住み込んで、何度も何度も同じ言葉を発音するように言われながら特訓を重ねます。そしてまずはアスコット競馬場に行くことに・・・・・・。

ロンドンの高級住宅街「mayfair」を下町のコックニー訛りで読むと「my fair」と同じ発音になるそうですね。また、イライザの苗字Dolittleはドリトル先生と同じ苗字で英語の単語としては「怠け者」という意味だそうで。そういえばミュージカル映画『ドリトル先生不思議な旅』でドリトル先生に扮していたのは、この映画でヒギンス博士を演じたレックス・ハリソンでした。

ブロードウェイでの『マイ・フェア・レディ』の舞台ではジュリー・アンドリュースがイライザ役を務めていたのですが、映画化に際して製作会社の指名で映画の主演がオードリー・ヘップバーンになったのは有名なお話。そしてジュリー・アンドリュースは同年に公開された『メリー・ポピンズ』に出演し、その年のアカデミー主演女優賞をとったといういきさつがあります。

またオードリー・ヘップバーンは歌は得意ではなく、この映画での歌だけは『王様と私』や『ウエスト・サイド物語』でも他の人の吹替えを担当したマーニ・ニクソンでした。実際、今のDVDには特典でオードリー・ヘップバーン自身の歌が参考に入っていますが、音程はひどくはないものの声の出し方やリズムの取り方が素人丸出しの歌い方。どこぞの国のヒット・チャートならともかく、まっとうな耳を持っている人にお金を取って聞かせるレベルではありません。

そこまでして起用したこの映画のオードリー・ヘップバーンですが、とにかくその美しさは一見の価値があります。最初、下町の薄汚れた花売り娘を演じているのですが、その時さえも美しくて困ってしまいます(笑)。またこの頃は御年30代半ばのはずなんですが、くるくると変る表情がもうとてもかわいらしくてたまりません。チョコレートに曳かれたり、お茶請けに目が行ったり、ビーダマを飲み込んでしまうところの表情などの愛くるしさは、なかなか出せるものではないでしょう。そして、社交界にデビューする時の華やかさですね。まさにオードリー・ヘップバーンの魅力を余すことなく伝えることができた映画ではないでしょうか。こういう映画を見ると舞踏会に行ってみたくなりますが、着て行く服がないの(笑)。それに間違えて李連杰とかが出る武道会に行っちゃったらコトですし(笑)。

映画のもうひとりの主要人物ヘンリー・ヒギンス博士は、中流階級のいやらしさをたっぷりと持ったマザー・コンプレックスで独善的な人物として描かれています。彼が何か言い出すと、観客の代わりにメイドやピカリング大佐や母親がツッコミを入れてくれるのでちょっと安心ですが(笑)。そのヘンリー・ヒギンスを演じたレックス・ハリソンの、最後の自宅のドアの前での表情は名演です。

音楽は言わずと知れた名曲揃い。「踊り明かそう」や「君住む街で」はもう何度も何度も耳にしている曲ですし、「ステキじゃない?」や「時間通りに教会へ!」も耳に残る名曲です。コーラスがきれいな「召使たちの合唱」や舞踏会での「大使館のワルツ」などの小技も効いています。ちなみにこの映画では音楽の監修をアンドレ・プレヴィンがやっています。

皮肉屋のバーナード・ショー原作の「ピグマリオン」とはまったく逆だと言われるラストは、「あれでいいのか」という疑問もあるのですが、まずはハッピーなミュージカルとしての落しどころとしてはアリなのではないかとも思います。私の場合、「なんであげな性格の2人が一緒になっとっとかねえ?」と思うケースを現実に数多く見ているせいもありますけど(苦笑)。


【マイ・フェア・レディ(MY FAIR LADY) 1964年 USA】
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by santapapa | 2006-03-28 06:08 | 洋画一般
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