ゴジラ (1954)

ゴジラ

怪しい獣=怪獣の代名詞であり金字塔である世界的に有名な映画といえばこの『ゴジラ』。終戦後9年の1954年に東宝で作られたあまりにも有名なこの作品は、後の映画にもいろんな影響を与えました。



太平洋の真ん中で次々と船舶が謎のの沈没事故を起こします。新聞記者の萩原(堺左千夫)は遭難地点に近い大戸島へ行って奇蹟的に生き残った男・政治(山本廉)から、海から出た巨大な怪物に火を吐きかけられて沈んだという話を聞きますが、老いた漁夫だけは昔からの云い伝えで信じただけで他には誰も信じません。果たして暴風雨の夜に謎の巨大な怪物は島を襲って人家を破壊しつくします。調査隊が大戸島を調べるとそこには放射能の反応と現代には滅びているはずの三葉虫の死体が。そして山の向こうから大きな足音が響いてきます・・・・・・。

もう何の説明もいらない有名な映画でしょう。広島・長崎に原子爆弾が落ちて9年、そしてこの『ゴジラ』が公開された年の春には、USAが太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験によって日本のマグロ漁船・第五福竜丸の乗組員が被爆するという大事件が起こっています。劇中でもゴジラの存在が新聞に書きたてられると、電車の中での会話で、 「いやね。原子マグロに放射能雨、その上今度はゴジラときたわ」、「せっかく長崎の原爆から命拾いしてきた大切な身体なんだもの」などという会話が象徴的に差し挟まれています。

そして反核のメッセージと共に娯楽作品としても見所が多く、当時最新鋭の特殊撮影にモノクロームの画面が相まって恐怖の存在としてのゴジラがよく現れていました。重厚な足音ひとつだけで巨大さと不気味さを出す演出もすばらしいです。また、恐怖の存在としてのゴジラに翻弄される市井の人たち、そして芹沢博士のオキシジェン・デストロイヤーなどの道具立てなど引き込まれる内容です。これが相手がすばしっこくて多産型の巨大トカゲだったり、超兵器の名前がまるで殺虫剤(例:すぅぱぁえっくす)みたいだったり空飛ぶカブトガニみたいな形だったら、ここまで引き込まれたかどうか判りません。

音楽はご存知、伊福部昭。黒地に白い文字だけのタイトル・バックに効果音と共に流れるテーマに始まり、重厚な世界観をしっかり支えています。大戸島でも薪能みたいなシーンの舞踏音楽も伊福部昭っぽくて魅力的です。伊福部昭のご逝去の際にはとかく『ゴジラ』の作曲家であることが主にクローズ・アップされていて、現代音楽のおかれている不幸な現状が身に沁みましたが、逆にこれを機会に氏の代表作でもある「シンフォニア・タプカーラ」や「土俗的三連画」、「日本狂詩曲」等にも耳を傾けていただければとも思います。



【ゴジラ 1954年 日本】
 
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by santapapa | 2006-02-17 23:51 | 邦画
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