座頭市血煙り街道

座頭市血煙り街道

1962年の『座頭市物語』に始まった勝新太郎の座頭市シリーズは、大人気を博して映画として全26作が作られました。この『座頭市血煙り街道』は『座頭市物語』から5年、既に第17作目に当たります。そして、私も座頭市シリーズを全部見たのではありませんが、シリーズの中でも屈指の名作のひとつでしょう。後にハリウッドでも舞台を現代に移して、『ブラインド・フューリー』としてルトガー・ハウアー主演でリメイクされた元ネタでもあります。



いつものように街道で五人のやくざに襲われる座頭市(勝新太郎)ですが、仕込み杖の居合斬りでやくざを倒した様子を偶然通りかかった侍風の男、赤塚多十郎(近衛十四郎)が目撃します。その晩旅籠に泊まった市は相部屋になった病床のおみね(磯村みどり)から、幼い息子の良太(斎藤信也)を前原にいる父親の庄吉(伊藤孝雄)に届けてくれと頼まれます。間もなく亡くなったおみねを寺に葬り、市はやんちゃざかりの良太を連れて前原を目指します。途中、旅芸人一座のともえ(朝丘雪路)たちと出会い前原まで同行することになりますが、道すがら万造一家がいちゃもんをつけてくることに。ところがそこに現れた多十郎が万造一家を追い払い、一座を救います。やがて前原に着いた市と良太は、庄吉が働いていたという窯焼き場の太兵衛(松村達雄を訪ねますが、庄吉は賭場に出入りするうちに行方不明になったという話。そんなある日、偶然から代官手附の鳥越(小沢栄太郎)の肩をもんだ市は、庄吉の名が出るのを聞き、鳥越の帰りを待伏せた市は、庄吉の居所を聞き出そうとします。ところが、その時現われた多十郎が鳥越を一閃のもとに斬り殺します・・・・・・。

いい映画にはいい好敵手がいるものですが、赤塚多十郎に扮する近衛十四郎がいいですねえ。立ち振る舞い、表情、そして殺陣、まさに素晴らしいの一言です。最後まで一貫して「サムライ」として存在する多十郎に魂が宿っています。

ラストの雪の振る中での対決シーンは日本映画の名勝負のひとつでもあるのではないでしょうか。斬るか斬られるかの緊張感、真剣勝負がこれほどひしひしと伝わってくる映画もそう多くないでしょう。恥も外聞もなくお互いの目的のために勝とうとする両人。市が庄吉を突き飛ばすシーンは市の心意気に泣きそうになっちゃいましたし、手で刀をつかんだ場面では見ている自分の方が思わず「いたいっ!」と声をあげてしまったところもあります。何度見てもため息の出る対決ですね。

音楽は『座頭市物語』以降、ここまでかなりの座頭市シリーズを担当している伊福部昭『大魔神』シリーズ3作を担当していた頃でもありますね。通常部分はウェスタンを意識したのかギターを使っているのが新鮮ですが、落石の場面以降は伊福部節前回で楽しめます。

市と多十郎が3度目に茶屋で会うシーン。路銀がなくおにぎり代と子供のわらじだけを頼む市に多十郎は按摩を頼んで金を多く渡します。「おめぐみはうけられません。気持ちがさもしくなりますから」と必要以上のお金を断る市。その市の心が全編この映画には生きているような気がします。


【座頭市血煙り街道 1967年 日本】
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by santapapa | 2005-12-18 23:56 | 邦画
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