ザ・コミットメンツバンドという音楽形態はそれこそ星の数ほどありますから、りーダーが自分のやりたいように振る舞うバンドもあれば、表面上仲が良いようでメンバー間に裏のあるバンドもあるでしょうし、また家庭的なほのぼのしたバンドもあったりします。これにまたお金がかかわってくると場合によっては大変なことに。 アイルランドのダブリンで失業して狭い家に親子兄弟で住む青年ジミー(ロバート・アーキンズ)は、現在失業中。自分がマネージャーとしてソウル・バンドを作りたいと思い立ったジミーは、バンドをやっている友人のデレク(ケネス・マクラスキー)やアウトスパン(グレン・ハンサード)と新しいバンドを作ろうと呼びかけます。新聞広告を出してオーディションしたり、結婚式でへべれけになって歌っていたデコ(アンドリュー・ストロング)に声をかけたり、憧れの女の子イメルダ(アンジェリン・ボール)を誘うためにその友人のナタリー(マリア・ドイル)やバーニー(ブロナー・ギャラガー)共々声をかけたりするうちにだんだんメンバーは集まってきます。練習場所なども交渉してリハーサルを重ねたバンドは「ザ・コミットメンツ」という名前をつけて、まずは公民館のヘロイン撲滅キャンペーンのコンサートでデビュー。トラブルだらけのライブだったものの、まずまずの手ごたえに彼らは意気揚々とライブを重ねます。それと同時にメンバー間の軋轢やトラブルもどんどん増えてきて・・・・・・。 『ダウンタウン物語』や『ピンク・フロイド ザ・ウォール』を撮ったアラン・パーカー監督の青春バンド映画です。ソウル・バンドのマネージメントをやりたいと思ったジミーの呼びかけがきっかけでメンバーを集めるのですが、『チアーズ』や『スワロウテイル』や『君さえいれば 金枝玉葉』などの映画同様、オーディション・シーンの面白さは監督の腕の見せ所ですね(笑)。アイルランドの社会事情もあるのでしょうけど、新聞の広告を見ていろんな人が集まる集まる。勘違いハード・ロック・ギタリストあり、女声3声のア・カペラあり、ご機嫌なケイジャン・ミュージックあり(ジミーの父親は歌詞に怒ってましたが(笑))、バウロンも入ったアイリッシュ・ミュージックありと多彩すぎます(笑)。最近ではインターネットなる情報交換の場がありますが、一昔前は日本では知り合いのツテやサークル活動を除けば、雑誌のメンバー募集欄かスタジオの張り紙が一般的でした。雑誌のメンバー募集欄も「キーボード・マガジン」や「ギター・マガジン」等のクラス・マガジンがあったり、ジャズだったら「ジャズライフ」誌だとか、ロックだったら総ページの半分ぐらいがメンバー募集欄の「プレイヤー」誌などがありました。メタルをやるバンドなどは「当方プロ志向。身長180以上長髪のみ。」みたいな文を載せていて、部外者には結構ウケました(笑)。 メンバーが集まった時点での、それぞれのうまさへたさもよく出ていました。ボーカルとトランペットの実力と、楽器店で危なっかしいドラムを叩くドラマーや素人丸出しのアルト・サックス、音程がとれず構成があやういコーラス。これが1つのバンドとしてだんだん音になっていく過程と、その将来がまた面白いです。この映画でのメンバー間の愛憎劇は幾分わざとらしさが出ていた感もありましたが、面白くありそうに出来ています。バンド内恋愛などはリーダーが悩む事柄ですもんね(遠い目)。また、メンバーの個性の描き方がよかったです。特にジミーが客席で襲われていた時のメンバーそれぞれの行動が、なかなか目を惹きました。 ちょっと残念だったのは無い楽器の音がしていたことで、フェンダー・ローズを弾いているのにアコースティック系のピアノ音だったり、3管以上の音が聴こえたりするのはちょっと興ざめしました。そういう部分のリアリティは欲しかった気がします。 「バンドというのは他人の寄り合いだ」というのは私のバイブルである佐藤宏之の少年マンガ『気分はグルービー』にあった言葉ですが、他人の寄り合いで集まったバンド・メンバーだからこそいとおしく、またバカができる気がしますね。ジョニー・マーフィ演じる「唇のジョーイ」がおっさんながら若い連中とバンドを楽しんだように、いくつになっても青春は存在するのです。 【ザ・コミットメンツ(THE COMMITMENTS) 1991年 UK】
by santapapa
| 2005-11-27 22:44
| 洋画一般
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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