オーケストラの少女

オーケストラの少女

1900年1月16日に初めての演奏会を開いたフィラデルフィア管弦楽団は、今年で創立105年。USAのメジャー・オーケストラの中では比較的遅いスタートでしたが、20世紀前半のレオポルド・ストコフスキーの指揮の元に、積極的な活動でUSAの五大オーケストラに数えられるまでになりました。



マンハッタン・コンサート・ホールではレオポルド・ストコフスキー(レオポルド・ストコフスキー)の指揮するオーケストラがチャイコフスキーの交響曲第5番を演奏し終わるところ。楽屋口に殺到するファンに混じって、失業中のトロンボーン奏者ジョン・カードウェル(アドルフ・マンジュー)はなんとかストコフスキーと直談判してオーケストラのメンバーに加えてもらおうとしますが、あっさりと楽屋番に追い払われます。淋しく帰ろうとする足元に大金の入ったサイフが目に入り、拾うジョン。持ち主を探そうとしたものの周りに取り合ってもらえず、仕方なく持ち帰ったところを家主に滞納した家賃を請求されて、悪いとは知りながら思わずそのサイフの中から家賃を支払ってしまいます。それをジョンの娘のパッツィ(ディアナ・ダービン)を始めとしてアパートの人たちは、ジョンがストコフスキーのオーケストラで働くことになったことによる前金だと誤解してお祝いの会を開きます。

娘の喜ぶ姿にどうしても本当のことが言えなかったジョンは、隣室の同じく失業中のフルート奏者マイケル(ミッシャ・オウア)にだけ事実をこっそりと話すと、翌日は練習に行くふりをして家を出ます。パッツィは嬉しさの余りに父の初練習を聴こうとホールへ出かけますが、そこで父が嘘をついている事実を知ってしまいます。家に帰って泣きながら詰問するパッツィに事実を告げるジョン。パッツィはとるものとりあえず、サイフの中にあった住所を元に持ち主のフロスト夫人(アリス・ブラディ)にサイフを返しに行きました。お金持ちのフロスト夫人はとっくに落としたサイフのことなんか忘れてホーム・パーティでとても上機嫌。お金を使ってしまったと言いにくそうに告げるパッツィをパーティに引き入れます。そこでパッツィの歌のうまさに驚いたフロスト夫人は、失業している父を救うためオーケストラを作りたいというパッツィの提案を上機嫌で受け入れて、後援を約束します。半信半疑だったジョンもフロスト夫人との電話で信用して、友人など100人の失業楽士を集めて失業者オーケストラを結成。古ガレージでのリハーサルが始まり、後援資金をもらいにパッツィはフロスト夫人の家を訪ねますが、気まぐれな夫人はなんとヨーロッパ旅行に出発してしまい、しかもお金を握っている夫のジョン・フロスト(ユージン・ポーレット)は妻からは何も聞いてないと憤慨します・・・・・・。

名画のひとつに数えられる1937年のモノクロの映画。極めて個性的な名指揮者のひとりとして有名なレオポルド・ストコフスキーが本人役で出ていることも話題の作品です。名画と言われると結構カタい感じがしますが、ストーリーはよく見ると、今で言えば人情喜劇で吉本あたりの舞台でもやりそうな誤解や偶然で話が進んでいくコテコテの人情モノ。真面目っぽいのですが、クスクスとほほえましい場面も多くあります。主人公のパトリシアは猪突猛進型でああいえばこうといった感じのチャキチャキ娘で、実際こういう人が身近にいたらうるさくてかなわんなあと思うよなタイプですが、その希望に満ちた楽天性がこの話を支えています。時代性もあるのでしょうけど、かなり直球勝負のファンタジーですが、夢があってとても好きな映画です。

この当時は世界大恐慌の後の映画だけに楽団員の失業などは、かなりのリアリティをもっていたのでしょうね。演奏はストコフスキーの手兵フィラデルフィア管弦楽団によるもので、まさに息が合った演奏。ラストの「乾杯の歌」では心が温かくなります。珍しいところでは、自室でストコフスキーがピアノを弾く場面を見ることが出来ますね。

登場人物の中ではフランク・ジェンクスが演じていた、歌好きのタクシーの運転手がとってもいい味をだしていましね。ほんわか人情喜劇には欠かせないタイプです。


【オーケストラの少女(100 Men and a Girl) 1937年 USA】
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by santapapa | 2005-11-26 23:53 | 洋画一般
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