あの頃ペニー・レインと

あの頃ペニー・レインと

心の扉の奥にしまったままのものをふとしたはずみに垣間見ると、それは急にふくれあがって一気にその頃に戻されることがあります。



大学教授のエレイン・ミラー(フランシス・マクドーマンド)は厳格で頭の固い母親で、年頃の長女アニタ(ズーイー・デシャネル)と衝突してばかり。とうとうアニタは家を出ることを決め、たったひとりの11歳の弟ウィリアム(パトリック・フュジット)に親に禁じられたレッヂ・ツェッペリンやクリームなどのロックのLPレコードを託します。それがきかけでウィリアムはロックの虜に。4年後の1973年、15歳になったウィリアムは幼い頃から成績優秀で、飛び級をしながら卒業を目指し、母エレインは弁護士になることを期待していました。当のウィリアムは学校新聞などにロック記事を書たりしていましたが、伝説のロック・ライターでクリーム誌の編集長のレスター・バングス(フィリップ・シーモア・ホフマン)と出会い、その筆を認められます。さらにローリングストーン誌からも声がかかって、ウィリアムが大好きな売り出し中のロック・バンド、スティルウォーターの取材をすることに。ところが伝も無く楽屋に入ることが出来ない彼の前に、バンドの取り巻きである女の子たちが。そしてそれがその中のひとり、ペニー・レイン(ケイト・ハドソン)とウィリアムとの出会いでした・・・・・・。

1973年といえばハード・ロックの台頭でロック・シーンが賑やかしくなっていった頃です。若者の音楽としては絶大な人気を得てきていましたが、一方親の世代からは煙たがれることも多かった音楽。ましてや酒、タバコ、クスリ、セックスと「不健康」な付帯イメージがついているのがロック・バンドでした。そんな時代の話です。

主役のパトリック・フュジットが扮するウィリアムは、厳格な母に育てられた真面目な少年で、まだ15歳の若さでロック・バンドを取り巻く世界を垣間見ることになります。彼の生来の明るさと真面目さがその中で浮いていながらも好意的に受け入れられ、彼らのマスコット的な仲間として一緒に行動していくさまは少年に戻ったようにわくわくします。製作・監督・脚本を担当したキャメロン・クロウの自身の体験が元になってるらしく、ステージに上がる前の儀式や、お互いの喧嘩等々、細部がいかにもありそうな感じですね。スティルウォーターのバンド・メンバーが、誰もが大なり小なり音楽好きの音楽バカなのが嬉しいです。特に印象的なのは、ツアー・バスの中で、だんだん歌声が広がっていくシーンですね。『スティル・クレイジー』もそうでしたが、いい歳こいたバンドの連中が巻き起こす珍騒動もコメディ・タッチに描かれてます。

母エレインの気持ちがわかる歳になりましたが、親離れ、子離れしていく描写がしっとりと染みてきました。なんでか怒られて素直に従うラッセル(ビリー・クラダップ)がかわいそうですが(笑)。そして切なく暖かいものがこみ上げる初恋。日本語タイトルにも惹かれて少しセンチメンタルな気分にさせられました。


いつかあの頃のペニー・レインと会うことがあれば、きっと言える言葉があると思います。



【あの頃ペニー・レインと(ALMOST FAMOUS) 2000年 USA】
[PR]
by santapapa | 2005-11-21 23:49 | 洋画一般
<< 日本フィルハーモニー物語 炎の... タイム・マシン/80万年後の世界へ >>