アーサー王の物語を映画化したものは数ありますが、その中のひとつというか、その中でも変り種のひとつ(笑)。モンティ・パイソンとしては初の映画「モンティ・パイソン・アンド・ナウ」はテレビ版総集編でしたので、この映画が初のオリジナル映画に当たります。
西歴932年、当時ブリテンを統治していたアーサー王(グラハム・チャップマン)は従者(テリー・ギリアム)を連れて、ランスロット卿(ジョン・クリース)、ロビン卿(エリック・アイドル)、ベディヴィア卿(テリー・ジョーンズ)、ガルハッド卿(マイケル・ペリン)など、円卓の騎士を集めて神からお告げのあった聖杯を求めてイギリス中を旅します。行く手を阻む数々の困難が彼らを苦しめ、観客を笑わせ、物語はクライマックスへと進んでいきます・・・・・・。
ここでモンティ・パイソンの映画を紹介するのは3度目で、
『ザ・ラットルズ』、
『モンティ・パイソン/人生狂騒曲』、
『モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン』・・・・・・、あれ4度目だ(笑)。これまでのテレビでのスケッチのスタイルを半ば踏襲しながら、長編映画に仕上げています。
もちろん、やることなすこと、むちゃくちゃ(笑)。知らずに見たら「なんじゃ?」と首をひねるであろう冒頭とエンディングもさることながら、歴史学者殺人事件を絡めたり、テリー・ギリアムが急死したり(苦笑)、好き放題に作っているなと思わせるものがあります。小ネタもなかなか効いていて、負けずきらいの黒騎士や、木馬ならぬ木兎、殺人ウサギ、3つの質問など、ストレートで古典的ながら、好きなネタですね。
その笑いを影で支えているのはニール・イネスの格調高い音楽で、実際普通のアーサー王の物語に使われてもおかしくないスコアを書いています。音楽を使った小ネタや、ミュージカル・シーンもあって、ニール・イネスもノリノリで作ったのではないでしょうか。
この頃7歳だったパッツィ・ケンジットが出演しているらしいのですが、見つけられなくて残念。
DVDの時代になって嬉しかったのが、音声トラックにコメンタリーが2通りついているのもありますが、1979年日本公開時の劇場公開吹替え版による声優の音声入りです。山田康雄、納谷悟郎、広川太一郎、飯塚正三、青野武といった面々で、原語とは違った味わいがある上に、ラストは原語にもない勝手なおしゃべりが入っていてこれがまた楽しいです。
【モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(MONTY PYTHON AND THE HOLY GRAIL) 1975年 UK】