新幹線大爆破

新幹線大爆破

国鉄本社に「約1500人を乗せた新幹線ひかり号に、時速80km/h以下に落とすと自動的に爆発する爆弾をしかけた」という電話があって身代金が要求され、新幹線の乗客の救出と、爆弾魔と警察の攻防を描いたお話。・・・・・・というと、新幹線ではなくてバスで似たような映画を見たことがあるような気がしますが、こちらは1975年に製作された邦画です。



乗客約1500人を乗せた博多行きの新幹線ひかり109号が東京駅を出発しますが、その後、国鉄本社に脅迫電話がかかってきます。それによれば、ひかり109号にスピードが80km/h以下に減速されると自動的に爆発する特殊な装置をつけた爆弾をしかけた、それがウソでない証拠に同じように夕張発の貨物列車に15km/h以下に減速されると自動的に爆発する爆弾をしかけた、500万ドルを要求するので指定する場所に持ってくるように、との内容でした。果たして夕張発の貨物列車は、減速した途端に爆発炎上。運転手と機関手はかろうじて飛び降りて助かります。運転指令長の倉持(宇津井健)は、ひかり109号の運転士の青木(千葉真一)に事件発生を連絡して、爆発を引き起こさないために80km/h以下に減速しないように、また少しでも時間稼ぎのために120km/h以上は出さないように厳命します。ただし新幹線にはATC(自動列車制御装置)という異常発生時に有無を言わさず自動でブレーキをかける装置があり、それが作動してしまっては爆発は必至。直ちにひかり109号以外の新幹線の運行を中止しようとしますが、浜松駅の手前で下りの先行車両が故障、切替えポイントで上り路線に誘導しようにも上りの新幹線も間近に迫り、また切替えポイント突入速度は70km/h以下という条件が・・・・・・。

1970年代は『大空港』を始めとしてパニック映画ブームがおこり、飛行機や船や高層ビルなどが大事故にあう超大作が作られていました。この映画はその時期に東映が製作した大作です。「大爆破」というタイトルから、「大予言」、「大冒険」同様、気合が入っています。興行成績は残念ながらコケたという話ですが、後に再編集されてフランスで『SUPER EXPRESS 109』として公開、大ヒットしたという話もあるそうです。

特殊撮影は予算の関係からか全般にかなりしょぼい感じで、また時代性特有のものもあるし、突っ込みどころもいろいろあったりしますが(笑)、それらを差し引いても設定・プロット・脚本が大変面白く、かなり見ごたえのある映画でした。

まず新幹線に起こる危機に必然性があって、手に汗握るシーンを作り出しています。この当時は山陽新幹線が開業したばっかりで、東京~博多間を直通で新幹線が結ぶようになったばかりでした。現在はJRという名前になって地域に分割されていますが、この当時はまだ日本国有鉄道=通称・国鉄だった時期です。ちなみに、東映は国鉄にこの映画の撮影協力を申し入れたものの拒否されたために、慣れない特殊撮影で代用したようです(苦笑)。思いの外、新幹線のシーン以上に犯人を追い詰める刑事ドラマのシーンが多くあるのも、撮影協力を得られなかった影響があるのかもしれません。脚本的にも回想シーンで感情をくすぐる部分を見せたり、時に冷酷な部分を見せたりと巧みなところを感じます。さすがにあまりに偶然過ぎる喫茶店の火事は、「なんですって?そんなバカな?」、「本当の話だ」という会話が笑えましたけど(苦笑)。

出演している役者も当時の日本のオール・スター・キャストといった陣容ですが、多少オーバー気味な部分はあるものの、やはり演技力のある役者の熱演はいいですね。犯人の沖田哲男役に高倉健が扮して、山本圭、織田あきらと男の友情を演じていました。かなり犯人サイドからの視点も描かれている映画で、新幹線の乗客の心配と犯人が逃げ切るようにという応援が、半ば混じったような感情になってきます。しかし、国鉄の職員に『キイハンター』の千葉真一(新幹線の運転手)、『スーパージャイアンツ』の宇津井健(運転指令長)、『キカイダー01』の志穂美悦子(東京駅電話交換嬢)などって、何気にめちゃくちゃ強そうで新幹線の屋根の上のアクションで犯人を倒しそうです(笑)。しませんけど。国鉄総裁は勘兵衛の志村喬ですしね。この映画の10年前にはなぜかプロ野球チームまで持っていた国鉄(現ヤクルト・スワローズ)ですから、その頃に採用されたのでしょう(笑)。特別出演の丹波哲郎はいかにも丹波哲郎といった役柄。同じく特別出演の田中邦衛は犯人のひとりの親で、北海道で農業やってました(笑)。

この映画、現代で下手にリメイクしても、脚本や役者の演技や「世間のしがらみ」などでさらにグダグダになっちゃいそうですが、『インファナル・アフェア』のスタッフ・キャスト+樋口特技監督あたりでリメイクしないかなあ(笑)。だったらすごく見たいですわ。

※追記
bambiさまののら猫の日記エントリー中にあった、しんゆり映画祭ゲストトーク2002「新幹線大爆破」はなかなか読み応えがあるインタビューでしたので、ご一読を。



【新幹線大爆破(SUPER EXPRESS 109) 1975年 日本】


[トラックバック先]★☆カゴメのシネマ洞☆★
[PR]
by santapapa | 2005-10-22 21:59 | 邦画
<< インドの仕置人 ローマの休日 >>