王と鳥

王と鳥

ポール・グリモオ監督が1952年に製作したフランスのアニメーション『やぶにらみの暴君(La Bergere et le Ramoneur)』を、27年後に自身が編集しなおして作った作品です。1952年の『やぶにらみの暴君』はフランスの長編アニメーションとしては元祖と呼ばれる作品で、このアニメーションに高畑勲や宮崎駿などが影響をうけたとも言われています。



やぶにらみでヒゲの剃り跡も青々しいタキカルディ王国のシャルル3+5+8=16世は、勝手気ままな暴君として君臨しています。ピストルの練習で的当てをするものの家来が当たったことに細工する腕前なのに、今日も捕らえた子鳥を的に撃ち取ろうとします。そんな王様と王宮に住む鳥が仲がいい訳がありません。肖像画家に自分の自画像を描かせると、目をやぶにらみのまま描いたのを逆恨みして肖像画家を落とし穴へ。その夜、宮殿の最上階の寝室で深く眠る王様の隣の部屋では、絵に描かれた羊飼の娘と煙突掃除の少年が絵から抜け出して駆け落ちをしようとします。ところが常日頃、羊飼の娘の絵に恋していた王様と同じ心を持っているらしい肖像画の王様も、絵から抜け出してふたりを捕らえようと動きだします。妙な物音に気づいて起きた王様が美術室に入ると、なんと肖像画の王様が本物の王様を落とし穴に放り込み、本物になりすまして警察に羊飼の娘を捜索するように命令する始末。羊飼の娘と煙突掃除の少年は逃げながら王宮に住む鳥と出会います・・・・・・。

1952年のフィルムを使っているのもあって、かなり古い感じのするアニメーションですが、独特のストーリーと独特の絵柄が非常に心を惹きつけます。同じフランスの『ベルヴィル・ランデブー』にも共通する一種の毒気と斜に構えた視線を感じる作品ですが、かといってそれが全然いやみにはなっていません。動きも色彩も実に見事で見ごたえがあります。超高層の近代的な城やオートメーション工場、自動演奏機械付巨大ハニワ・ロボットなど、小道具の奇抜さも目を見張ります。宮崎駿が影響を受けたといいますが、これを見ると笑ってしまうぐらいいたる箇所で一目瞭然です(笑)。

脚本はジャック・プレヴェール、音楽はジョセフ・コズマ。私自身もシャンソンの歌手の人についてしばらくPAをやっていた時期があるので、それなりにシャンソンは好きで知っているのですが、ジャック・プレヴェールとジョセフ・コズマといえば、ジュリエット・グレコやイヴ・モンタンでヒットした「枯葉」や「バルバラ」などの作詞作曲コンビによるシャンソンも多く、またプレヴェールの脚本とコズマの音楽による映画も多くあります。ここでのコズマの音楽もリリカルなテーマ曲あり、エスプリの効いたアレンジによる結婚行進曲ありと、素晴らしい音楽をつけています。


【王と鳥(LE ROI ET L'OISEAU) 1979年 フランス】
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by santapapa | 2005-10-17 23:46 | 洋画一般
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