レスリー・チャンの神鳥英雄伝

レスリー・チャンの神鳥英雄伝

小説の映画化というのも昔からよく行われていますが、小説のイメージは読者がそれぞれ頭の中に持っているだけに、いざ映像化された時にそのイメージとしっくりくるかどうかというのが一つの関門だったりします。



楊康と穆念慈の忘れ形見である楊過(張國榮/レスリー・チャン)は母を亡くした後に郭靖(陳觀泰/チェン・クアンタイ)・黄蓉(劉雪華/リュー・シュエホア)夫妻に出会って引き取られますが、夫妻の娘・郭芙や武兄弟と折り合いが悪く、かつての楊康の師門である全真教に預けられます。ところがそこでも折り合いが悪く、争いになるうちに古墓派の少女・小龍女(翁靜晶/マリー・ジーン・レイマー)と出会って弟子入りすることになります。やがて楊過と小龍女の2人はお互いを好きになりますが、同時に波乱に巻き込まれることになるのでした・・・・・・。

原作は金庸の『神雕侠侶』(日本語版題名『神雕剣侠』)。『射雕英雄伝』の続編にあたる作品です。映画では、前半は一応かなり原作に忠実な作りになっています。ところがこの作品、日本語版書籍で300ページ以上の本全5巻で、しかも金庸らしく展開が早く、エピソードがやたらてんこもりの作品。それを90分ちょっとの長さで映画にするのですから、大河ドラマの総集編以上の大ダイジェスト・バージョンになっています。原作を読んでいても展開の目まぐるしさについていくのがやっとで、おそらく読んでいない人には何がなんだか訳わかめ状態でしょう。もう、説明も情緒もあったもんじゃありません(笑)。東京名所旧跡1周ハトバス・ツアーを1時間で駆け足でやっているような感覚です。消化しきれないことなんて知ったことかと、次から次にいろんなキャラクターがあわただしく出てきます。むしろいくつかのキャラクターは出てこない方がストーリーがすっきりしたような気もしますが。

そして、いくら20倍速再生モードでもさすがにこのペースでは終わらないと気づいたのか、中盤から何かが吹っ切れたように、いきなりパラレル・ワールドのオリジナル・ストーリー・モードに逸れていくという香港映画ワールドに突入していきます(笑)。この前半と後半のギャップがたまりません(笑)。王羽(ジミー・ウォング)の『片腕必殺剣』の元ネタだという、わがまま郭芙ちゃんの右腕斬っちゃった事件なんて無いことになっています(苦笑)。最後の方はいつものショウ・ブラザーズ映画的対決場面に。お約束の首チョンパや胴体まっぷたつなどのアクションが炸裂します。

そして映画が香港映画ワールドになってきて、満を持して登場するのがアレです。独狐求敗が飼ってた身長2mの飛べない大鷲、神雕が登場しちゃうんですよ(爆笑)。小説はいいですよ。各人の想像に委ねて雄雄しい神雕の姿を心に思い浮かべるでしょうから。そしてこの映画で出てきたのが、着ぐるみのまるで中年ハゲワシのような神雕くんでした(爆笑)。さすがにこれは見た途端、頭をかかえてしまいましたわ(笑)。同時にお腹もかかえてしまいました(笑)。『大英雄』の3匹の怪物の中にいたトリさんはきっと親戚です。間違いありません。

でこの(いろんな意味で)おちゃめな神雕くん、主人公の楊過を介抱して独狐求敗の剣を渡したと思うと、おもむろに岩を投げて星一徹ばりに特訓を始めます。それを阪神の今岡ばりの悪球打ちで打ち返す楊過。今一、特訓の意図がわからないのですが、これでなぜか最後には楊過が独狐九剣(だよなあ。あれは多分)を使えるようになります。って、いくら独狐求敗がらみだからと言って、なんで『神雕侠侶』で独狐九剣が必殺技とは?(笑)

楊過はこの意外にひとなつっこく愛嬌がある中年ハゲワシ(下腹にダイエットの必要あり)が、不思議とだんだんかわいく見えてきたのか「こいつうぅ~」って感じで中年太りで飛べない神雕くんに飛ぶための特訓をします(おいおい)。最後に原始怪鳥リトラとなって、ゴメス・・・・・・じゃなくて金輪法王に対抗する部分は必見。かなり笑えます。でも口からシトロネラ酸は吐きません(笑)。そして、唐突な劇終でも愛嬌振りまいてます(笑)。なんだか神雕くん、好きになっちゃったよぉ(笑)。

ちなみに来年大陸で放映されるというテレビドラマ版『神雕侠侶』は2mの模型+CGで神雕のチャレンジするそうですが、あのCGテクニックで大丈夫か?>中国中央電視台。

ちなみにこの映画の頃は特殊撮影はまだ得意ではないからか、郭靖は降龍十八掌を使わずにひたすら剣で戦ってます。楊過に花を持たせるためか金輪法王ごときに苦戦してますが(苦笑)。唯一特殊撮影っぽい部分は、ハチが人を襲うシーンが『禁断の惑星』のイドの怪物みたいなアニメーション合成でした(笑)。

ちなみに監督は『中国超人 インフラマン』の華山(ホア・シャン)です。もしかすると着ぐるみの使いまわしをしているかも(笑)。

肝心の主人公、楊過を演じるレスリー・チャンはまだ20代の頃でアイドルしています。上半身脱いでサービスしてるし(苦笑)。小龍女は古墓にいた割にメイクがばっちり、かなりお化粧が濃いような気もしますが、お世話をしていたばあやの趣味かもしれません(笑)。ダイジェスト版の前半部ではしっかり恋する中学生な尹志平(紙に「小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女小龍女・・・・・・」と書いているのも実写で再現)の非道なふるまいも一応お茶の間でご家族で見ることができる程度に表現されています。あれ?そうすると、英題の『Little Dragon Maiden』って?

ストーリーをまったく気にしない向きにはいいのですが、そうでない方は原作を読んでから見たの方が無難です。なお、洪七公が李莫愁のかわいがってた犬をウェルダン&犬ナベにするシーンがあるので、愛犬家は要注意(苦笑)。

ちなみにちかぽん師匠が以前コメント欄に書いておられたショウ・ブラザーズ版『笑傲江湖』も見ましたが、またそれは別の機会に。


【レスリー・チャンの神鳥英雄伝(楊過與小龍女/Little Dragon Maiden) 1983年 香港】
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by santapapa | 2005-10-04 23:49 | 香港(中国・台湾)映画
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