楽園の瑕

楽園の瑕

実はこのblog、王晶(バリー・ウォン)監督作品は多く紹介していても、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品はまだ皆無だったりしています(笑)。ということで『楽園の瑕』です。金庸の『射雕英雄伝』の登場人物、欧陽克の叔父貴の西毒・欧陽峰と阿蓉のパパの東邪・黄薬師が若い頃をウォン・カーウァイの脚本で描いた、言わばスピルバーグの『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』みたいな映画です(笑)。



白駝山に生まれ早くに両親を亡くしたために兄に育てられた、「西毒」こと欧陽峰(張國榮/レスリー・チャン)は、砂漠にある宿屋で殺し屋の元締め稼業を営んでいました。そんな彼を毎年春に訪ねてくる友人の「東邪」こと黄薬師(梁家輝/レオン・カーフェイ)。この2人を中心として、欧陽峰の兄嫁(張曼玉/マギー・チャン)、慕容家の燕(林青霞/ブリジット・リン)と媛(林青霞/ブリジット・リン)、目が弱った剣士(トニー・レオン)、後の北丐である洪七公(張學友/ジャッキー・チュン)などの人物が絡まりあい、人間模様を浮き彫りにします・・・・・・。

実は初めて見た時にはあまりの芸術性の高さにうつらうつらしてしまったという映画ですが(苦笑)、クリストファー・ドイルの美しい影像(この人、ホント、『アンドロメディア』なんかになんで出たんだか(笑))、切ない物語の数々、何度も噛み含めるごとに味の出る言葉と、じんわりとくる映画でした。中でもトニー・レオン扮する目が弱った剣士のエピソードが心に残りました。何度か殺陣の場面が意図的にでしょうけどスローモーションとカット割りで判りにくく、ちょっと武術指導の洪金寶(サモ・ハン・キンポー)がかわいそうだったかも。

『射雕英雄伝』の登場人物の若い頃ということで、小便島(苦笑)での欧陽克につながるエピソ-ドや、洪七公が食い意地のために指を失ったエピソードなどが出てきます。おまけに独狐求敗誕生のエピソードもありましたね(ちなみに大陸TVドラマ・バージョンの『射雕英雄伝』には周伯通が桃花島で飼っている亀に独狐求敗って名前つけてました(笑))。みんな若い頃は(と言っても結構中年にさしかかってますが)悩んで悩んで悩みぬいたから、歳とって豪快なじーちゃんになったんだよって感じです(笑)。ただ、私の印象だとあの毒物使いの抜け目ない悪人(でもたまに素でお茶目)の欧陽峰の若い頃ってあんな感じではないような気もしますけど。

この映画の完成が遅れた「おかげ」で急遽『大英雄』という「大名作」が生まれたのは有名な話。ちょっと油断すると、『楽園の瑕』で真面目な顔で演じているレオン・カーフェイやトニー・レオンが、『大英雄』でやっている役どころをを思い出してしまって大変です(爆笑)。

『大英雄』→『楽園の瑕』の俳優対応表をみてもややこしいです(苦笑)。

西毒・欧陽峰 トニー・レオン→レスリー・チャン
東邪・黄薬師 レスリー・チャン→レオン・カーフェイ
北丐・洪七公 ジャッキー・チュン→ジャッキー・チュン
南帝・段智興 レオン・カーフェイ
老頑童・周伯通 カリーナ・ラウ

ということで本編もなかなかでしたが、周辺エピソードでも侮れない映画でしたね。ちなみに徳間書店から出ている『射雕英雄伝』は現在文庫化の最中で、第3巻まで文庫化されていますので未読の方にはお薦めです。


ところで原題は『東邪西毒』。どこでどう『楽園の瑕』になったのでしょう?私なんか「楽園の」と読んでしまって、思わず頭の中にバラデロの海岸に寝そべってトレス弾きながらモヒートス飲んでる姿が浮かんでしまいましたがな(苦笑)。



【楽園の瑕(東邪西毒/Ashes of Time) 1996年 香港】
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by santapapa | 2005-08-30 00:10 | 香港(中国・台湾)映画
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