妖怪大戦争 (1968)

妖怪大戦争

妖怪の夏、日本の夏(花火の音入り)。



時は日本では江戸時代の頃、遠くバビロニアでは遺跡の盗掘が行われていました。ところがその盗掘がきっかけで4000年の眠りから吸血妖怪ダイモン(橋本力)が復活してしまいます。ダイモンは何を思ったのかいきなり一路日本は伊豆の代官所にひとっとびすると、ちょうど釣りをしていた代官・磯部兵庫(神田隆)に襲いかかると血を吸い取って乗り移ります。代官所に戻った兵庫は、あまりの豹変ぶりに驚く娘の千恵(川崎あかね)や部下の真山新八郎(青山良彦)など周囲の狼狽をよそに、神棚や仏壇を刀で払い焼き捨てるように命じます。この兵庫の正体を見破ったのは代官所の池の主の河童(黒木現)。ダイモンを追い出そうとしますが力の差は大きく、命からがら逃げ出した河童は妖怪仲間の棲む古寺に逃げ込みます。その恐ろしさを説明して訴える河童ですが、日本の妖怪とは思えない話に誰にも信用してもらえません。その間にも兵庫に化けたダイモンは次々に代官所の人間の血を吸って乗り移っていきました。部下の真山新八郎は千恵の父、磯部兵庫の行動を怪しみ修験者大日坊(内田朝雄)の力を借りて退治しようと思います。その一方でダイモンに乗っ取られた侍達につかまるところをからがら古寺に逃げてきたふたりの子供、茂市(渡辺幸保)とお咲(神田真里)に会った妖怪たちはダイモンの存在が本当であることを知り、捕まえられた女性や子供たちを救出に代官所に向かいます・・・・・・。

着ぐるみと操演による1968年夏休みのファミリー映画。当時は冬休みに封切りだったみたいです。その昔、妖怪や(ここには出てきませんが)忍者がまだ子供にとっては非常に身近な存在であったので、妖怪という言葉はそれだけで興味を惹かれる言葉でした。

冒頭のダイモンの出現シーンでの地割れなどは、当時としてはリアリティもあり、なかなかの迫力でした。出現した吸血妖怪ダイモンは、どういう訳かいきなり飛び立つと説明も迷いもなしに日本に飛んでいきますが、今でも怪獣がやたら日本に来たがる流行の発端が当時からあったのでしょう。もしかすると盗掘していた男たちが「東方見聞録」でも持っていたのかもしれません。ダイモンというネーミングはデーモンからきたのでしょうか?DAEMON Mailというのは時々来ますけど(笑)。

バビロニアの吸血妖怪(ってか西洋の場合はモンスターになるんでしょうか?)ダイモンを『大魔神』の橋本力が名前通りに力演。大魔神でも見せた眼力がもう、文句なしに素晴らしいです。

妖怪連中も河童や油すましにろくろ首、カラ傘お化けに二面女など当時おなじみの妖怪が勢ぞろい。着ぐるみですが、当時とあればこれもそれなりの出来。私はカラ傘お化けの操演の感じが好きです。

中にはお腹にテレビ(当時なので白黒)が映る雲外鏡というハイテク妖怪もいたりしますが、力を入れないと映らないらしく、負傷して逃げた時に新八郎対ダイモンの生中継の受信状態が台風時のCSみたいに悪くなり、(力を入れてなんとか映ると)「あ、映った!」、(映らなくなって)「せっかくええとこなんじゃに!」と、仲間の妖怪に街頭テレビ並にされているところがかわいそうです(笑)。あんたら、ケガしてるんだから、もうちょっといたわってやれよ(笑)。

この妖怪連中、出身地がばらばらなのか、伊豆にいるクセに油すましが若干関西なまりだったり、ぬっぺぼうが九州なまりだったりします。ちなみに伊豆の代官所なのに門番の2人だけが関西弁なのは若井けんじ・はんじだからです(笑)。さすがに江戸時代だけに「頭の先までピーコピコ」というセリフはありませんでしたが(笑)。

最後の方ではダイモンが分身の術を使って×∞マルチプライズとばかりに増殖。これが本当の大門軍団と言わんばかりに日本の妖怪たちと戦います。今見ればちょっと迫力不足に思えるかもしれませんが、うまいカメラの切り返しと合成と編集でそれなりに大勢で「合戦」をやっている感じに見えています。ジェット・ジャガーや後の東映特撮ばりにいきなり巨大化するダイモンに対して、顔に近づこうとして『メリー・ポピンズ』みたくカラ傘お化けの足につかまってふわふわと飛ぶ油すましが、「う~ん、めるへ~ん」って感じです(爆笑)。

ラストの場面、ラベルの「ダフニスとクロエ」の「夜明け」みたいな曲をバックに、妖怪たちが霧の山を帰っていくシーンがとても美しくて、何度も見たくなる大好きなシーンですね。音楽担当は昨年亡くなってしまった天才作曲家、池野成(ちなみに祖父の池野成一郎は、ソテツの精子の発見者としてその筋ではつとに有名)。劇中でも独特な編曲で非常に迫力ある音楽を当てています。


【妖怪大戦争 1968年 日本】
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by santapapa | 2005-07-31 06:09 | 邦画
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