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ガタカ

ガタカ

DNAはそれに含まれる4つの化学物質、グアニン(Guanine)・アデニン(Adenine)・チミン(Thymine)・シストシン(Cystosine)の組み合わせで構成されているのだそうです。近年遺伝子工学の発達のスピードは加速して、前世紀初頭では考えられなかったようないろんなことが判ってきたようです。



遺伝子工学が進歩した近未来では、受精段階で遺伝子操作によって「優秀」な子供を生むことが主流になっていました。両親の間で自然の形で生まれたヴィンセント(イーサン・ホーク)は生まれた時の遺伝子を調べた結果、心臓が弱く30.2歳までしか生きられない確率が極めて高いといわれていました。弟を望む両親によって、やがて遺伝子操作によって父の名を継ぐアントン(ローレン・ディーン)が生まれます。幼い頃から弟のアントンにかなわない兄ヴィンセントでしたが、ある時いつも海で行っている度胸試しに初めて勝つことができます。自分に自信を持ったヴィンセントは家を出ますが、宇宙飛行士に憧れてなりたいと思っていても、現実は自然に生まれた者は血液検査で遺伝子の「不適正者」と判ってすぐに「重要な仕事」から排除され、チャレンジのチャンスさえままなりません。清掃員として宇宙開発の施設ガタカに出入りするヴィンセントは、なんとかして宇宙に行こうと思いつめて闇の業者を探します。闇の業者の手持ちの駒にいたのが、最高級の遺伝子を持つ超エリートの水泳選手であったが「事故」で歩けなくなったジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ)。ヴィンセントは闇の業者とジェローム本人の手引きで、彼にになりすまそうとします・・・・・・。

アンドリュー・ニコル監督のデビュー作。遺伝子工学が遺伝子操作と本人認識に常用され、たびたびロケットが打ち上げられて、その一番遠いものが土星の衛星タイタンへの有人飛行を成し遂げようかとしている時代を描いています。おそらく今世紀の半ばあたりかそれ以降には現実になるかもしれないという世界でしょう。冒頭から独特の映像が美しい映画です。遥か未来の冷たいようでどこかなつかしさも感じるような独特の世界観も映画の最初から最後までを通しています。

「マイノリティ」として新しい「差別」をうけるヴィンセントですが、その何をしてでも宇宙に行きたいという理由も最後の主人公のセリフの中で生きてきます。「欠点を探すのに必死で真実が見えない」とヴィンセントが同僚で気持ちを寄せているアイリーン(ユマ・サーマンが好演)に言いますが、重い言葉です。

ヴィンセントがなりすまし、ヴィンセントの裏返しともいえるユージーンの存在が物語りに深みをつけていたように思います。車椅子で家にいつもいながらスーツを着て髪をいつもセットしてるユージーンが、最初にヴィンセントとっていた協力的な態度が、だんだん内容が変わってくるように思います。

いろんな小道具もさりげなく凝っていましたね。印象深かったのは12本の指のためのシューベルトの「即興曲第3番」。ラベルの「左手のためのピアノ協奏曲」や、館野泉のことなど、頭をよぎっていきました。

細かいことを言えば突っ込みどころもままある映画ではありますが、じわっと効いて来る映画です。


【ガタカ(Gattaca) 1997年 USA】
by santapapa | 2005-07-25 23:56 | 洋画一般
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