陽炎座

陽炎座

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幽玄の世界というものに漠然と憧れがありまして、「雨月物語」や小泉八雲、泉鏡花などを読んでいた頃がありました。『ツィゴイネルワイゼン』を見た友人が、「これはいい映画だ」と強力に薦められて見に行った映画が、この鈴木清順監督の『陽炎座』です。



映画は大正末年である1926年が舞台になっています。松田優作演じる新派の劇作家・松崎春狐が次々に出会う出会う摩訶不思議な体験を追って、物語はどこへ進むのか予測がつかないままに彷徨うように進んでいきます。

まるで舞台のようなセリフまわしと場面移動、大胆で不思議なカット割、心理描写を身体の動きで表すような演技、そして見惚れるような映像美がどれも魅了します。また河内紀が音楽を担当しているのですが、フリー・ジャズのパーカッション・プレイヤーである鬼才・富樫雅彦の音が印象的です。

多感な頃だったというのもあるのでしょうが、これを見終わった後あまりの素晴らしさに全身鳥肌状態で席を立てませんでした。その後に2回劇場に見に行って、『陽炎座』のレコードをセリフを憶えるまでに何度も何度も聴きました。当時は民生ビデオがほとんど普及していない時代なので、サウンド・トラックのレコードだけではなく、まれに映画のセリフがダイジェストで入ったレコードが出ることがあったのです。レーザーディスクが出たら買って、DVDが出たら大正3部作+1のボックスセットを買ってと、邦画の中では1番気に入っている映画です。

【陽炎座 1981年 日本】
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by santapapa | 2004-09-20 21:56 | 邦画
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