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夢二

夢二

鈴木清順監督の俗に言う大正浪漫三部作、『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』に次ぐ第三作目のこの作品は、1991年に作られました。



大正6年、金沢での出来事。謎の男の悪夢にとり憑かれている竹久夢二(沢田研二)は、恋人である彦乃(宮崎萬純)と駆け落ちすることを約束して、湖畔に向かいますが彦乃は現れません。そこへ隣の村で妻を寝取られた男・鬼松(長谷川和彦)が間男を殺して山へ逃げ込んだという知らせが届きます。夢二は山の中で、湖上に漂うボートに乗る白い日傘をさした貴婦人と会います。その女性こそ殺された脇屋の妻・である巴代(毬谷友子)で、彼女は湖上に浮かび上がってくるはずの夫の死体を待っていました。巴代の美しさに引かれてた夢二は逢瀬を重ねます。ある日、東京から夢二に惚れているお葉(広田玲央名)が彦乃の手紙を携えて金沢へやって来ます。そして、夢二に忍び寄る怪しい影が・・・・・・。

実在の人物である竹久夢二をモデルにして、想像の羽根を広げて鈴木清順監督らしい美学で描いた作品です。いきることとしぬこと、そしてその狭間にある夢幻を漂うような映画とでも言うのでしょうか。大正時代を舞台にした3作品は『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』、『夢二』と新しい作品になるほど、明るいイメージを感じます。この映画についていえば、夢二のキャラクターづけによるものも大きいのでしょう。

おなじみの俳優陣に混じって、この映画ではその主人公の夢二を沢田研二が演じています。『ハーイ!ロンドン』などのザ・タイガース時代、『太陽を盗んだ男』などなど、沢田研二はいろんな側面を見せてくれていて、ここでも役にはまっていると思いました。

以前は根津の竹久夢二美術館にの数件隣に住んでいて、休日にはたまに訪ねたりとかしていました。この映画の素材を選ぶ上で竹久夢二という実在の人物を借りてきてモチーフにしたかった理由が、なんとなくぼんやりとわかるような気がします。


【夢二 1991年 日本】


追記:竹久夢二美術館を竹久夢二博物館と誤記してしまいましたので、訂正させていただきます。
by santapapa | 2005-06-17 23:50 | 邦画
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