ひばり・チエミの弥次喜多道中

ひばり・チエミの弥次喜多道中

江戸時代の流行作家、十返舎一九が1802年に書いた「東海道中膝栗毛」はその面白さから当時ベストセラーになったいうことです。主人公の二人、弥次さんこと弥次郎兵衛と喜多さんこと喜多八の名前を取って、別名「弥次喜多珍道中」とも呼ばれています。



チャキチャキの江戸の下町育ちであるお君(美空ひばり)とおとし(江利チエミ)は、芝居小屋で下足番として働いていました。ある晩芝居がはねた後に勝手に舞台に上がりこんだところ、舞台から奈落に落っこちてしまいます。そこにいたのは地獄の熊吉(加賀邦男)、三太(花房錦一)、法界坊(東千代之介)らで、彼らはこっそりと麻薬の密売をやっていたのでした。実は法界坊の正体は南町奉行の筆頭与力・秋月七之丞で麻薬密売の潜入捜査のために熊吉らと行動を共にしていたのです。そこに南町奉行所の手入れがあって一味は一網打尽、ところがお君とおとしも巻き添えを食って牢屋に入れられてしまいます。無罪放免されたものの芝居小屋からは不等解雇を受けてしまった二人は憤慨して、江戸も女も捨てて男装すると、名前をそれぞれ弥次郎兵衛、喜多八と変えて東海道の旅に出ます・・・・・・。

当時、美空ひばり、江利チエミ、雪村いずみは「三人娘」と呼ばれて絶大な人気を誇っていたそうですが、その中の二人が共演した、江戸時代スチャラカ・コメディ・ミュージカルです。いやもう、主人公の二人が今ではあまり見かけないチャキチャキの江戸っ子という設定。威勢がいいは、鯔背だはで、屈託なく楽天主義で前向きに明るくどんどん進んでいきます。その気っ風のよさは、古い人間だからなのか、見ていてな~~~んにも考えずに気持ちが爽快になりますね。娯楽映画の王道です。「ざっつ・えんたあていんめんと」ですね。ちなみに、大阪・堺の前田製菓が提供のテレビ番組、『てなもんや三度笠』はこの年にスタートしています。

ミュージカルですから音楽も盛りだくさんです。1940年代のスウィング・ジャズが進駐軍と共に入ってきて定着し、50年代のマンボ・ブームを通ってきた時代ですから、ジャズとラテンに歌謡曲テイストがふんだんに盛り込まれたポップな曲が全編に流れます。この頃の和のテイストが混じったラテン・フレイバーも私は結構好きで、チャチャのリズムなんかで心と腰が動きます。自分にとっての「豊かな音楽」の一つのルーツは、この周辺にあるのではないかなと思っています。

歌も踊りも華やかで、最後に見せ場を作ってハッピー・エンド。私にとっては芝居小屋に言っているような、ウキウキさせてくれる映画です。


【ひばり・チエミの弥次喜多道中 1962年 日本】
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by santapapa | 2005-06-07 05:04 | 邦画
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