禁断の惑星人類から見れば無限に近い広さを持つ宇宙の中では、人智の想像もつかないようなことが起こる可能性は充分にあるのではないでしょうか。 西暦2200年、アダムス船長(レスリー・ニールセン)の率いる宇宙船は遥か第4アルテア惑星に到着して、20年前の調査隊の生き残りであるモービアス博士(ウォルター・ピジョン)に出会います。博士の話によれば、アルテアにはかつては超高度な文明を築き上げ、2万年以上前には全宇宙を支配したクレール人がいたのですが、一夜にして滅亡してしまったそうなのです。博士はアダムス船長が来るまでクレール人の遺した科学を利用して、娘のアルティラ(アン・フランシス)とロボットであるロビーとだけでずっと生活をしていました。クレールの遺跡と科学に感嘆したアダムス船長は地球に持ち帰りたいと言いますが、博士はそれに反対した上にアダムスたちに、早く地球へ帰るようにと促します。そんなある夜、謎の怪物が現れて宇宙船の隊員を殺害します・・・・・・。 幼少の頃、テレビで見てワクワクドキドキして、とっても怖かったSF映画です。今から半世紀前、1956年の映画だけにさすがに今の眼で見ると特殊撮影とかはチャチに見えますが、『2001年宇宙の旅』あたりが出てくるまでは充分最先端の映像でしたし、ロボットなどのデザインも秀逸、現在リメイクしても通用しそうな筋立てだったと思います。 子供にとってはいきなり説明なしに、「イドの怪物」というのが出てきたのには面食らいました。ガキんちょの頃はフロイトなんて知らないもんで、「井戸の怪物」だと思って「四谷怪談みたいなものが未来の宇宙にもあるんだな。向こうの妖怪はお皿数えるなんて地味なパフォーマンスじゃなくて、鉄扉を熱線で溶かしたりしてパワフルだな」と思っていました。多分、私だけじゃなくて全国に30~40人ぐらいはいるんじゃないかと思うんですけど。ああ、勘違い。 いずれにせよ、透明でバリアに当った時だけMGMみたいな姿を現す透明な怪物はとても怖くて、しばらく夜にトイレに行けなかったものでした。『スーパーガール』の時に似たような怪物が出た時には、旧知の知合いのように思いましたけど(笑)。 もうひとつ、当時はカンボジアがロン・ノル政権時代でポル・ポトがシアヌークを擁立してクメール共和国の樹立宣言をしていて新聞でクメール・ルージュについて賑わっていた頃ですので、クレール人をクメール人だとばっかり思っていました(苦笑)。クレクレタコラと間違わないだけよかったのでしょうか。ああ、勘違い。 この映画の魅力のひとつはボブ・キノシタがデザインしたというロボットのロビー。その個性的な造型は多くのSFファンを魅了しました。そのロビーを中心に描いた、40~50年代のSF雑誌に見られるようなケレン味たっぷりのジャケットがまたいいですね。当時はモンスター&美女やロボット&美女(なぜか宇宙なのにボディ・コンシャス)の表紙が目白押しでした。イラストは恣意的にか透明カバー内のアンテナが怒ったような角度になっていますが(笑)、忠実なロボットです。後に海外SFテレビドラマの『宇宙家族ロビンソン』にも、同じくボブ・キノシタがデザインしたレギュラー出演のフライデー(「ケイサン、デキマセン!」が口ぐせ(笑))というロボットと共にゲストで共演もしています。 ちなみに二枚目のアダムス船長に扮するレスリー・ニールセンは後にあの『裸の銃を持つ男』のロス市警のフランク・ドレビンになるのですが、言われるまで気づかないぐらい別人でした(笑)。32年の年月が彼の何を変えたのでしょうか?(笑) 【禁断の惑星(Forbidden Planet) 1956年 USA】
by santapapa
| 2005-05-19 23:39
| 洋画一般
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心に残る映画、ウキウキする映画、トホホな映画などについてをつれづれなるままにつづります。レビューは偏った主観なのでそこはそこで。トラックバックはカテゴリーの「トラックバックについて」参照。 by santapapa
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