トプカピ

Topkapi

『黄金の7人』と並ぶ1960年代のピカレスク・ロマンの名作映画。ターゲットはイスタンブールのトプカピ王宮博物館!



美女泥棒のエリザベス・リップ(メリナ・メルクーリ)は、イスタンブールのトプカピ王宮博物館に陳列されている宝石のちりばめられたサルタンの宝剣に魅せられて、なんとか盗み出せないものかと思案します。トプカピ王宮博物館は最新鋭の警備が張り巡らされて、閉館後は床にほんのわずか触れただけでも警報が鳴り響くと言う念の入れ様。そこで愛人であるベテラン泥棒のウォルター(マクシミリアン・シェル)を口説いて計画をたてることに。ウォルターによれば、計画を遂行するには前科がないメンバーを集めることが必要だということで、風変りな英国貴族で発明家のセドリック(ロバート・モーレイ)、力持ちだが短気のフィッシャー(ジェス・ハーン)、軽技師のジュリオー(ギルス・セガール)と言った連中を仲間に引き入れます。また、万一の場合に備えてトルコまで武器を運搬させるために、ギリシャでしがない小心者のイギリス人ガイド=シンプソン(ピーター・ユスティノフ)を運転手として、犯行の計画を何も知らせずに雇い入れます。ところがこのシンプソンがトルコ国境の検問所で武器を発見されて、テロリストとして疑われるはめに。トルコの警察はシンプソンをスパイとして泳がせて逐一行動を報告させて、テロリスト一味を一網打尽にしようと目論見ます。いよいよ決行の前日、ひょんなことで怪力のフィッシャーが手に大怪我を。急遽代役としてシンプソンを使うことにして、事の次第を打ち明けます・・・・・・。

わくわくする大泥棒の映画は数多くありますが、これもその中でも名作の一つです。万が一にのために銃の用意も考えてはいるものの、マクシミリアン・シェルのセリフ、「拳銃を使うのは芸術的じゃない」というのが、スマートな彼らの美学です。プロフェッショナルが揃った仕事人としてのかっこよさもありますが、ひとひねりしているのがピーター・ユスティノフ扮するシンプソンの存在。微妙にひっかきまわしてハラハラさせてくれます。ピーター・ユスティノフはこの映画でアカデミー助演男優賞を受賞しますが、納得です。

またこの映画のメイン・ディッシュである盗みの場面ですが、暗い中、無音で緻密な作業をするシーンの緊張感たるや抜群です。厳重な警備で実行不可能と思われる中で彼等がとった方法は、誰もが、後に作られたあのテレビリメイク映画の元ネタはこれだったのかと納得すると思います。

主犯のメリナ・メルクーリは、熟女の面目躍如といった感じで男達を手玉に取る妖艶なバンプを感じさせる役どころ。表情と声色、衣装が目まぐるしく変わるところが、とっても魅力的です。シンプソンにフィッシャーの代わりが務まるのか試すために、自分が乗った大型ソファーをロープで引かせるシーンなどがおしゃれですね。

メリナ・メルクーリ自身もしっかりとした芯のある強い人間だったそうです。1967年のギリシアでのク-デタ-による軍事政権樹立の時に、「ギリシアの島々に牢獄があって、無実の人びとが拷問に苦しめられています」と発言して軍事政権の怒りを買って、国籍剥奪と財産没収、暗殺の影にもさらさせることになります。それでも世論を動かそうと努力を続け、軍事政権が倒れた後ギリシアに戻った彼女は国会議員になり、後に文化科学大臣にもなりました。ギリシアの軍事政権については映画『Z』のエントリーもご参考にしてください。

ちなみに監督のジュールス・ダッシンはメリナ・メルクーリの夫で、ダッシンがハリウッドのレッド・パージで追放されて活動拠点をヨーロッパに移していた頃に知り合って、『宿命』、『日曜日はダメよ』、そして本作などを二人三脚で作り上げます。

舞台がエキゾチックなイスタンブールというのも、また気分をわくわくさせてくれます。景色や建物、トルコ・レスリングや音楽など異国情緒豊かで、今以上に当時はそういう異国の空気を映画で見れる喜びがあったでしょうね。それにしてもフィッシャーって、ドアに手を挟んだぐらいで両腕全体に包帯ぐるぐる巻きって(笑)。

ラストのセリフとエンディング・クレジットの映像が、「そうこなくっちゃっ!」と言った感じで思わずニヤリとしてしまいますね。軽妙洒脱といった言葉がぴったりの映画です。


【トプカピ(Topkapi) 1964年 USA】


[トラックバック先]愛すべき映画たち
[PR]
by santapapa | 2005-05-07 00:13 | 洋画一般
<< 快盗ルビイ さよならゲーム >>