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PTU

PTU

PTUとは、Police Tactical Unitの略。香港警察特殊機動部隊のことで、藍色のベレー帽をかぶった制服組。緊急時以外は街のパトロール任務に就いて、特定のエリアを持たず要請に応じて現場に駆けつけ、主な任務は群衆の整理や暴動の統制。



2000年9月14日、香港九龍半島の尖沙咀(チムサアチョイ)。ニュースが警官の殉職を伝える中、ホー隊長(任達華/サイモン・ヤム)率いるPTUのメンバーは、夜のパトロールを行っていました。同じ頃、方榮記レストランではマフィアの大親分ハゲの息子マーが4人の手下と共に食事中に組織犯罪課のサァ刑事(林雪/ラム・シュー)が来店して鉢合わせ、不穏な雰囲気になります。上司の呼び出しに店を出たサァ刑事は目の前で車を傷つけたマーの手下を追うことになったのですが、バナナの皮で滑って失神。付近をパトロールしていたPTUが現地に駆けつけたところ、サァ刑事は拳銃を紛失していました。本来即座に報告しなければならないところですが、近々昇進がかかっていることを知ったホー隊長は、勤務交代時間の朝まで報告を出さずに一緒に拳銃を探すことにします・・・・・・。

滑って転んで拳銃を無くしたサァ刑事が周りを巻き込んで起こすドタバタ・コメディ・・・・・・、だと思うのですが、そんな書き方をしているところをなかなか見かけないので、私の見方がかなり大きく間違っているのかも(笑)。そもそも拳銃を無くすきっかけがバナナの皮で滑って失神ですよ(笑)。呂少玲(エレイン・ルイ)の『天使行動』、周星馳(チャウ・シンチー)の『喜劇王』や『少林サッカー』を思い出しましたがな。また、マーの刺された時の反応もアレだし、ラム・シューのサァ刑事も黄卓玲(ルビー・ウォン)演じる特捜課のチョン警部もオチをつけてくれますしね。

とはいえ、全編ジョニー・トー監督の美学があふれた映像と雰囲気になっています。香港の夜を浮かび上がらせる闇と照明の独特のコントラストが美しいです。雨が振ってくる場面や、子供が自転車で走る場面、そして場面展開の感じがすごく演劇の舞台っぽい印象をうけます。ラストの山場まで思いのほか淡々と進んでいくのですが、飽きさせません。

おっと思ったのが、夜の外のシーンで雰囲気のSEがかすかに流れていること。静寂だけど静寂ではないという感じを出すには面白い手法です。反面、音楽はレトロを感じさせるギターの音楽で、どうも私は映画の雰囲気にあまり合っていないような気がしましたけど。

いろいろと言いながら、私的には期待して見に行って、期待にたがわぬ内容で満足しました。ということでこれから見に行かれる方は、当ブログのコメディという発言は忘れて(笑)、香港の闇を感じさせるジョニー・トー監督の美学の世界に浸ってください。


【PTU(PTU) 2003年 香港】
by santapapa | 2005-05-02 00:06 | 香港(中国・台湾)映画
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