MASHとは
Mobile
Army
Surgical
Hospitalの略。日本語では米陸軍移動野戦外科病院のことだそうです。
1950年初頭、朝鮮戦争もたけなわの頃、現地の最前線にある第4077米陸軍移動野戦外科病院に、ホークアイ・ピアス大尉(ドナルド・サザーランド)、デューク大尉(トム・スケリット)、トラッパー・ジョン(エリオット・グールド)の3人の軍医が着任します。3人とも医者としては一流の腕を持ちますが、揃いも揃って破天荒な悪戯好き。レーダーことオリーリー伍長(ゲイリー・バーゴフ)も巻き込んで、規律を重んじる軍隊の中であるにもかかわらず、次から次へと騒ぎを起こします・・・・・・。
ロバート・アルトマン監督による1970年の映画です。1960年代初頭に始まったベトナム戦争が泥沼化していた時期。映画好きの両親を持っていたので公開時に名前は知ってはいたものの、私が映画を見たのは後の話。当時は岩国に住んでいたのですが、学校の窓は2重ガラス。毎日、基地から発進する戦闘機がどこかに飛んでいました。
この映画、登場人物がとても魅力的でした。普段は好きなだけおちゃらけるけど、やる時ゃやるぜ(もちろん、やられたらやり返す)ってな感じで、主役の3人が実にいい味を出してます。普段のドタバタと、間に何度か差し挟まれる手術シーンとの対比が絶妙です。騒動に巻き込まれる連中との描き分けもお見事。
前線に仮設された野戦病院で日本語のヒット曲(笑)が流れたり、ゴルフをしに(笑)日本に行くぐらいで、あまり朝鮮戦争らしさを感じさせる描写はありません。戦地であれば他のどこかの場所に置き換えても成り立つ映画だったりします。
音楽は『いそしぎ』のテーマ曲でも有名な
ジョニー・マンデル。映画の中でも歌われていて「マッシュのテーマ」として知られている「Suicide Is Painless」は心に染みる名曲で、ビル・エバンスやマーク・コーエンなども「Thema from MASH」としてこの曲を採り上げています。
とかなんとか書きながら、反戦、反骨、ブラック・ジョークと、この映画に関してはいろいろと書くだけ野暮かなとも思わせてくれます。なんせこの映画自身の語り口が実に見事で、映画を見るのが一番ですし(と言うと、他の映画も同じことになって全部手抜きレビューになっちゃいそうですけど(笑))。
この『M★A★S★H』は1972年にテレビ・シリーズ化されて、日本でも放映されていました。テーマ曲は劇中でも使われているあの曲のインストゥルメンタル・バージョン。これがまた大変面白いシリーズで、長寿シリーズとなりました。本国ではこのテレビ・シリーズのDVDも格安で発売されていますのですが、今のところ日本で発売予定がなさそうなのが残念です。一昨年、FOXのサイトのアンケートに、DVDで出してほしいテレビ・シリーズという項目の選択肢にあったので、思わずチェックボックスの項目でキーボードを強く押したのですが、ちょっと押す力が足りなかったのかもしれません(笑)。まだ希望は捨てていませんけど、出てくれないかなあ。
「今日の映画は『マッシュ』でした」
【M★A★S★H マッシュ(M★A★S★H) 1970年 USA 】