渚にて

渚にて

よせては返す波は、ずっとその動きを止めることはありません。たとえそこに人がいてもいなくても。



1964年に第3次世界大戦が勃発して、原水爆の使用によって北半球は滅亡、それによる死の灰は核の被害に遭わなかった南半球にじわじわと流れてきます。本国を亡くした米原子力潜水艦ソーフィッシュ号はオーストラリアのメルボルンに入港。ひとときの休息を過ごした後に、人類生存の道を探る学者達の提案で、タワーズ艦長(グレゴリー・ペック)はオーストラリア軍の若き大尉ホームズ(アンソニー・パーキンス)や学者のジュリアン(フレッド・アステア)等と共に、ソーフィッシュ号に乗って北半球の汚染調査にでかけます。そして人が死滅したはずのUSAからの無電を頼りに、ソーフィッシュ号はUSAに向かいます・・・・・・。

原作はネビル・シュートが1957年に書いた『渚にて』というSFです。2時間15分もの長尺のモノクロの映画で、派手さはなく全編を静かで重いムードが覆う作品で、荘厳な気持ちにさせられます。人類がじわじわと死へ向かっていく様子が描写されていて、薄ら寒い恐怖を憶えた映画でした。

特に潜水艦が北半球に戻ってからの汚染調査、サンフランシスコの様子、謎の無電、そして前半のオーストラリアの人々の平和な生活とラスト・シーンと、心に残ったシーンは多いですね。

オーストラリアが舞台の中心と言うことで、オーストラリアの代表的な民謡「ワルツィング・マチルダ」がテーマ曲を始めとして全編に効果的に使われています。

『渚にて』というタイトルはUSA出身のイギリスの詩人、T.S.エリオットの詩、『渚にて』から来ているそうです。

  このいやはての集いの場所に
  われら、ともどもに手さぐりつ
  言葉もなくて
  この潮満つる渚につどう
 
  かくて世の終わり来たりぬ
   かくて世の終わり来たりぬ
   かくて世の終わり来たりぬ
  地軸くずれるとどろきもなく ただひそやかに


【渚にて(On the Beach) 1959年 USA】
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by santapapa | 2005-04-09 23:36 | 洋画一般
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