スウォーズマン 女神伝説の章

スウォーズマン 女神伝説の章〈ニューマスター版〉

この映画、なかなかのエンターティンメントで本当はトホホ系に入れるべき映画ではないのですが、怪しいニンジャと日本語が入り乱れるのと衝撃の映像もあって製作・脚本のツイ・ハーク(徐克)先生には申し訳ありませんが、栄えあるトホホ系に入れさせていただきました。決してバカにしいてる訳ではなく、ツイ・ハークの他の追従を許さない最高傑作ではないかと思っています。



この映画、金庸の武侠小説「笑傲江湖」を原作に作られた『スウォーズマン 剣士列伝』『スウォーズマン 女神復活の章』というシリーズ3作の第2作目にあたります。面白いことにこの3作の中で同じキャラクターがほとんど別の俳優による配役になっています。

この『女神伝説の章』の主役リン・ウーチュン(令狐冲)に扮するのはハリウッドでも活躍中のジェット・リーことリー・リンチェイ(李連杰)。もちろん、アクション・シーンでは華麗な動きを見せますが、どうも他のリー・リンチェイの主演映画に比べてこの映画では主役にもかかわらず圧倒的に影が薄いのです(笑)。原因は周りのキャラクターが異常に濃すぎることでして。なにせ3作目で主役になってしまったブリジット・リン(林青霞)の東方不敗や、吸星大法を操る日月教教主の任我行(ヤン・ゴーハン)、そしてマジンガーZ並に「連続斬りだ!」、「飛び斬りだ!」、「分身の術だ!」と必殺技をイナタい日本語で連呼する服部半蔵などつわもの揃いです。おまけに、リー・リンチェイはこの映画では非常に軟派な役どころで当人も感情移入が難しかったとか。

ストーリーは昔明代の頃、「葵花法典」という秘伝の巻物を奪い合うために朝廷、東方不敗、日月教教主がしのぎを削り、倭寇のつてでニンジャが助太刀に入って闘いを繰り広げるといったものです。香港映画でおなじみのワイヤー・アクションで人がやたら飛び交います。ニンジャなんか大型手裏剣を投げてそれに自分で飛び乗って、シルバー・サーファーみたく飛んでいきます。惑星ゼン=ラ出身かと思いましたがな。日本語を喋らない猿飛はススキの穂の上を走るし、酒がうまければ空中横回転するし、空中を水の中のように移動して崖につかまるなんてことは平気の平左です。とりあえず人が飛べると言うことは大前提のようで、主人公リンも「酒は自分じゃ飛べないだろ」と言っています(笑)。

アクション・シ-ンも見所満載で、人の頭をこぶし大にしてしまう吸星大法や畳返し風に地面を剥ぎ取ったり、東方不敗の縫い針攻撃や巨大な鉄甕を掌打で跳ね返すと甕に手形がつくなど過剰サービス気味。アクション漫画を絵のまま映像にしてしまったような感がありますね。それに加えてかなりビミョーな日本語と「あんたがたどこさ」や「おしくらまんじゅう」を歌いながら宴ほがい賑わしい倭寇や、謎の文様の石庭(?)が花を添えます。

とかなり面白おかしい部分を書きましたが、お話は闘いの虚しさや平和を願う心、権力を得た者の恐ろしさや少数民族の問題、そして愛することをさりげなく盛り込んでいます。特にロザムンド・クァン(關之琳)扮する壇主のヤン・インイン(任盈盈)の、日月教とリンの間で決断を迫られる気持ちには心打たれました。

DVDは幸いにも香港版が日本語字幕付でしたので、国内版が出る前にも輸入で求めることができていました。この8月にようやく国内版も出たみたいです。

【スウォーズマン 女神伝説の章(笑傲江湖 II 東方不敗)1992年 香港】
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by santapapa | 2004-09-12 21:08 | 香港(中国・台湾)映画
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