赤ちゃんよ永遠に

Z.P.G.

産業革命時代 世界総人口 約 6億人
2000年    世界総人口 約60億人
2050年推定  世界総人口 約90億人



21世紀には多くの動物が絶滅して、街では大気の汚染によって濃いスモッグが常にかかって、人々は外出する時はマスクを使用しなければならなりませんでした。また、絶ええまない人口増加によって慢性の食料不足をおこし、食料は配給制になっています。ある年の頭に世界連邦会議が重大な決議の発表をします。
「今後30年間、すべての出産を禁止。違反者は死刑に処す」
事実、密かに子供をを生んだ者は密告で逮捕され、親子ともども窒息刑に処せられることになります。子供がほしい親のために、体温があって軽い病気にもかかり、歩いたり母親の名を呼ぶ赤ちゃん人形というロボットが販売されるようになり、それを人々は並んで買い求めます。

8年後、博物館の職員であるラス・マクニール(オリバー・リード)と妻のキャロル(ジェラルディン・チャップリン)は、自分たちの子供が欲しくなり、赤ちゃん人形の売り場に行きますがやりきれない気持になって並んでいる途中で帰ります。子供がほしいあまりに、わざと避妊をしなかったキャロルは、クリスマスの夜にラスに妊娠していることを告白します。驚くラスは妻の気持を理解して、世間には妻と別れたと嘘をつき、地下壕にキャロルを隠して出産を待ちます。無事に男の子が生まれてふたりは地下で赤ちゃんを育てますが、ある日子供が高熱を出してしまいます。キャロルは赤ちゃんを隠すようにして街に出ると、昔から知っている懇意の老医師のもとに連れて行きますが、その途中で隣人のエドナ(ダイアン・シレント)にばったりと出あってしまいます・・・・・・。

SFで数多く描かれている破滅に進む世界を描いた映画のひとつですが、その中でも独特の雰囲気がある異色の作品です。原題の『Z.P.G.』の意味ははエンディングで明かされますが、「Zero Population Growth」=「人口増加率ゼロ」という意味。1972年、まだ世界人口が40億人に達していない頃に作られました。

犬や猫や亀などの死滅した動物を展示する博物館、建物の外では濃いスモッグの中で顔の前面をすっぽりと覆うマスクをして呼吸をする人々、監視と密告の目と閉塞した未来像が描かれています。配給チケットでチューブと液体の食料を黙々と食べるシーンでは、高級レストランのように必ず音楽の生演奏がついているというところのアンバラスさがブラックですね。美しい音楽に彩られたラスト・シーンはその結末に、何とも言えない気持ちにさせられて、ずっと心に残っています。

特撮はデレク・メディングスが担当。『スティングレイ』、『サンダーバード』、『謎の円盤UFO』などのジェリー・アンダーソンのテレビ・シリーズを支えてきた人で、それ以外の映画の特撮はこれが初めて。これ以降『恐竜の島』や視覚効果賞をとった『007/ムーンレイカー』、『スーパーマン』、『スーパーガール』、『バットマン』を手がけます。この映画ではさほど大きな特撮シーンは見られませんが、未来都市や広報ヘリコプターなどに『サンダーバード』らしさを垣間見ることができます。

映画は四半世紀以上前の古いものですが、テーマは今なお生き続けている映画です。寺山修司がこの映画の感想にからめて、カルメン・マキの歌う「時には母のない子のように」の詞を書いた意図を表した文があったように記憶しています。


【赤ちゃんよ永遠に(Z.P.G.) 1972年 USA=UK】
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by santapapa | 2005-03-19 11:45 | 洋画一般
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